バラエティ番組「あっぱれさんま大先生」に 小中学生の時に出演し人気を獲得した俳優・山崎裕太さん(38)。当時は大先輩の大物タレント・明石家さんま相手に、ズバズバ言って笑わせてくれるヤンチャな子役の印象でしたが…。
昨年、芸歴35周年を迎え、その集大成として、3月に一人芝居「赤ずきんちゃんのオオカミ」に挑戦する。“子役は大成しない”と言われるなか、しっかりと生き抜いてきた秘訣を語りました。
「大江戸ロケット」で舞台の面白さに出会い
「 「赤ずきんちゃんのオオカミ」は 去年の1月頃に、企画をスタートしました。幼い頃から芸能界で仕事をしていたので忙しく、お遊戯会とか学芸会に出た記憶がない。それで、今からお遊戯会、学芸会の思い出を作ろうというところから、童話「赤ずきんちゃん」のスピンオフ作品を作ろう、というアイデアが生まれました。
お客さんには喜怒哀楽のあらゆる感情を楽しんで、最後は心にガッと刺さって「いいもの、見たな」って思ってもらえる作品にできれば。山崎裕太のいろんな部分を見せられたらな、と思っています。
初舞台は16歳。それから仕事に対するジレンマや葛藤もあって、20歳のとき、劇団☆新感線の「大江戸ロケット」という作品で主演させてもらって、「あ、自分の真骨頂はここだな」と気づいたんです。
生で芝居を観てもらって、反応がすぐにかえってくるライブ感が気持ちいい。やめられなくなりましたね。もちろん映画やドラマもやらせていただいているので、3年ぐらい舞台に立たない時期もあり、4~5本やる年もあり、でマチマチですけど、いいお話をいいタイミングでいただけたらぜひやりたいですね。」
子供の頃はこの仕事をやりたくないと…
「あっぱれさんま大先生」で鍛えられたので、生ものがいい、と思えるのかもしれません。それでも、バラエティタレントじゃなく、俳優の道をきたのは……子供だったし、なるようにしかならなかったというか(笑)。自分の思うとおりになったことなんて、ひとつもなかったですから。子供の頃はこの仕事をやりたくないと、毎日のように思っていました。忙しくて学校にあまり行けないし、好きなサッカーもできないし。「あっぱれさんま大先生」の収録はほぼ日曜日だから、友達とも遊べない。母親に「もうやだ!」「やりたくない!」と大泣きしたこともありました。でも、僕が幼い頃、我が家は母子家庭だったので、「お前が働かないと弟が学校に行けない」なんて母親に言われて。今、考えたら、そんなことはなかったと思いますけど(笑)、芸能界の仕事をすればいいお金になったので働かされてた、という感覚だったんです。
僕が小学校高学年のとき、母親が再婚して妹が生まれ、「もう、これでやめられるな」と思いました。でも、もし何かあったら、妹がご飯を食べられなくなるんじゃないか、とか、よく考えたら、僕は勉強が苦手だし、運動も一番じゃない。周りの子たちにかなうもの、というと、この仕事しかないんだ、と気づいて火が付きました。負けず嫌いではあったので。」
7年ぐらい前、芝居に生涯を捧げると決めた?
「 同じ年代の俳優より現場の経験はありますけど、ここまで生き残ってこられた自分に「よくやってきた」という思いもあります。なぜかはわかりませんけど、もし自分では気づかない僕の魅力があるとしたら、それを監督はじめ、周りの方々が引き出してくれたから今の僕があるのかな、と思っています。
7年ぐらい前、芝居に生涯を捧げる、俳優を一生やると心に決めたので、芸歴35周年といっても、人生80年だとしたら、この先がまだ倍ぐらいあります。もっと、まだまだ、いろんなことがやれると思うと、楽しみでしょうがないですね。もし「大江戸ロケット」の再演がかなったらどうかとか、新しいものをやろうとか…。」
俳優を続けるために努力していることは
「 1本1本の仕事を誠実にやろうと心がけ、とにかくやり続けること。そして、事務所やマネージャーと意思疎通をしっかりとって、今のタイミングで“山崎裕太”をどうしていくか、を考えることが大事だと思っています。
10代の頃はやりたくなくてふて腐れていた僕が、キャラ立ちして「面白い」と言われたかもしれないけど、今はそれでは通用しない。今回の「赤ずきんちゃんのオオカミ」もそうで、セルフプロデュースをして新しいものを見せていかないと。そうしないと未来はない、と思っています。
俳優としてのパフォーマンスを下げないために、グルテンとカフェインをとらない生活を、もう3年以上続けています。1年間、毎日10キロ走って、疲れない身体作りにつとめたこともあります。
健康のためにというより、こうした生活を送ったほうが良いパフォーマンスに繋がるから、という思いで続けています。年を重ねるにつれ、完璧を求めて、不必要なものをどんどん除外して、無駄をなくすよう意識して生活しています。」
「この人を愛する」と決めたら、その人だけでいい
「 子供が大好きなので、いつか結婚して子供をもちたいと思っていますけど、焦ってはいません。ここだ、というタイミングがくれば逃さないつもり。でも、今の自分では中途半端になってしまいそうだから。僕はスーパースターじゃなく、セリフひとつで説得力があるような俳優になりたい。結婚は、まず仕事で自分の武器を手にしてからですね。
たしかに、若い頃は遊んでいた時期もありましたが、傷ついている子の姿を見たり、自分も傷ついた経験をして、まったく変わりましたね。自分の生きたいようには生きたいですけど、自己中心的な人間にはなりたくありませんから。僕は「この人を愛する」と決めたら、その人だけでいい。浮気はできない。浮気をしたら、相手に嘘をつき、自分に嘘をつき、浮気相手にも嘘をつき、嘘に嘘を重ねないといけない。そんな苦労してまでする必要ある!? 面倒くさくてできないですよ (笑)! 」
□山崎裕太(やまざき・ゆうた) 1981年3月8日、秋田県生まれ、東京育ち。
3歳のとき、銀座でスカウトされモデルデビュー。1988~1996年に出演したバラエティ番組「あっぱれさんま大先生」(フジテレビ系)で人気に。1991年の映画「グッバイ・ママ」(松竹)や1993年「REX 恐竜物語」(松竹)、1995年「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(ヘラルド・エース/日本ヘラルド映画)などで子役俳優としても活躍。2001年、舞台「大江戸ロケット」で主役を演じゴールデン・アロー賞演劇新人賞受賞。2020年3月、「赤ずきんちゃんのオオカミ」で初の一人芝居に挑戦。
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