岩城滉一といえば、テレビや映画などで、様々な役柄を演じる俳優として有名です。特にドラマ「北の国から」で演じた草太は、物語の中でも大きなカギを握る重要な役どころでしたが見事に演じ切り、それまでのアクション路線から一転、演技派俳優として鮮烈なイメージを与えてくれました。しかしながら、ここまでの道のりは、決して順風満帆であったわけではなく、いくつかの困難を乗り越えて掴み取ったものでした。
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もともと岩城滉一は芸能界など興味がなく、1970年代前半には原宿を拠点としたバイクチーム「クールス」の副団長として、後に俳優となる舘ひろしらと活動していました。やがて、クールスが、当時社会現象ともなっていた矢沢永吉、ジョニー大倉率いるキャロルの親衛隊となると、クールスから選抜したメンバーでレコードデビューする話が持ち上がります。もちろん、岩城滉一にも声がかかりますが、その時点では断っています。ちなみに、この時メインボーカルに抜擢されたのが舘ひろしです。
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しかしながら、雑誌に掲載された、岩城滉一の姿が東映関係者の注目を集め「70万円やるから映画に出ないか」と誘われたことがきっかけで俳優としてデビューすることになりました。デビュー作は1975年の東映「新幹線大爆破」であり、デビュー作にして高倉健と共演することになるのです。そして、同年、同じく東映の「爆発! 暴走族」で主演を務めることになります。その後も「爆発! 暴走遊戯」「暴走の季節」「爆発! 750cc族」など、東映が得意とするアクション映画に立て続けに出演しています。
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ところが、岩城滉一は1977年7月29日に覚せい剤取締法違反並びに銃刀法違反で逮捕されてしまいます。容疑は1976年12月17日に杉並区の友人宅で住吉会系暴力団員から購入した覚せい剤0.02グラムを使用したこと、また、拳銃を所持していたことによるものです。岩城滉一は容疑を認め、暴走族時代から覚せい剤を入手していたことを供述しています。
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結局、このことがきっかけで、テレビドラマは降板するものの、逮捕から5か月後には映画に復帰しています。ちなみに、この暴力団員と知り合うきっかけとなったのが、極道から映画スターに転身した安藤昇であり、後年、岩城滉一は陣内孝則主演「疵」で安藤昇役を演じています。
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逮捕後の岩城滉一は、結婚や兄として慕っていた松田優作らの支えで更生を近い、1982年には見事「北の国から」の草太を演じることになるのです。今では、紳士的な振る舞いで女性ファンも多い岩城滉一ですが、こうした苦境を乗り越えたからこその魅力なのかもしれませんね。