有名タレントのやしきたかじんが亡くなった後に、妻である女性が「殉愛」という本を出版しました。この「殉愛」をめぐって、大きな騒動が起こります。
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「殉愛」は、作家である百田尚樹が、やしきたかじんの自筆メモや妻の証言などに基づいて書いた純愛ノンフィクションとして発売されます。ところが、本が発売された週日後に、やしきたかじんの長女が出版社を相手取って出版差し止めと損害賠償を求める訴訟を起こしたのです。
本の内容に疑問が続出
「殉愛」は、発売直後から、やしきたかじんの妻の経歴を含む本の内容に疑問が続出し、ノンフィクションと言っても、裏どりしなくてはならないことを一方的に書いているとの指摘がされていました。
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やしきたかじんの娘や元マネージャーを悪者にして、相手の言い分は取材していなかったのです。本が出版されると、騒動が飛び火して、やしきたかじんの妻とイタリア人男性との結婚話など、様々な情報が出てきたのです。週刊誌も代理戦争を展開して、数か月しても騒動が収まる気配がありませんでした。
大騒動の末、やしきたかじんの長女は、名誉棄損裁判で勝訴します。
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長女が本の発行元の幻冬舎に損害賠償などを求めた裁判で、東京高裁は1審東京地裁判決に続き、一部の記載に名誉棄損とプライバシーの侵害を認め、365円の支払いを命じたのです。ただ、出版差し止めについては、認められませんでした。
裁判長は、1審がプライバシー侵害を認めなかった記事にも侵害がある部分があると判断し、賠償額を増やしています。
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東京地裁で開かれた裁判では、百田尚樹が証人として出廷し、「殉愛」がやしきたかじんの妻の証言で構成され、長女に対する取材をしなかったと明言しました。名誉棄損については、悪く書くつもりはなかったと否定しています。
長女側の弁護士から作家タブーについて触れられると、動揺していたといいます。
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やしきたかじんの妻側も、名誉を傷付けられたとして、損害賠償を求めて裁判を起こしています。サンデー毎日の記事が真実ではなく、名誉を傷付けられたと訴えた裁判は、妻の請求が棄却されています。
妻は、やしきたかじんの友人男性と元弟子に対しても損害賠償を求め、大阪地裁に提訴していました。ただ、友人男性については、和解が成立しています。元弟子を訴えた裁判の控訴審では、1審の地裁判決から200万円も減額となる100万円の支払いが命じられました。元弟子側は、最終目標は請求棄却だったものの、支払いが大幅に減額になったことで、ある程度の主張が認められたと評価しています。