スタッフが事前に準備していた生物をあたかもロケ中に発見したかのように捕獲するという“やらせ”が発覚し、放送休止となったTBS系『クレイジージャーニー』。同じくTBSでは、『消えた天才』においても少年の投球を早送りにして、実際よりも球速を速く見せる過剰な演出をし、こちらも放送休止となっています。
TBSだけじゃない
続けざまに発覚したやらせで、TBS内では大混乱のようです。両番組ともに番組終了は避けられない状況なのだとか。さらには、ほかにも同様の“やらせ”がなかったか、局内では今一度演出のチェックをすることになるようです。
確かに、やらせを疑われる番組は少なくありません。たとえば、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(同)はその筆頭でしょう。有名人が扮装して素人の前に登場するドッキリなどは、明らかに不自然。一般人として登場した人がタレントの卵だったというケースもあるのです。バラエティー的な演出とも捉えられますが、過剰な部分も多いのです。
やり玉に挙げられそうなのは、TBSの番組だけではありません。他局の番組についても、過剰な演出が問題視されています。例えば、日本テレビ系『秘密のケンミンSHOW』などは、あたかもその地域では当たり前となっている文化のように紹介されていたものが、そこまで一般的ではなかったなんていうケースが後を絶ちません。さらに、番組内では一般家庭の夕食シーンが放送されることがありますが、明らかにテレビ用に用意した料理ばかりの時も多いのです。親戚一同が集まって食事しているシーンを「この県民ではこれが普通」なんていうふうに紹介するのは、ちょっとやりすぎのようですね。
また、フジテレビの『ホンマでっか!?TV』では、専門家が話す内容に問題があるといわれています。番組では“あくまでも専門家の個人的見解”ということで、いろいろな説を紹介していますが、演出上は、それらの説があたかも事実であるかのようになっています。まったくエビデンスのないオカルトみたいな健康法や、まるで都市伝説のような社会分析なども登場するので、相当際どいものです。そのあたりの情報の精査が行き届いていない部分はあるでしょう。
テレビ朝日系『帰れマンデー見っけ隊!!』にも、やらせ疑惑が常につきまとっています。サイコロを振って、その目の数ぶん先のバス停で降りるというルールなんですが、以前からサイコロの出目が操作されているという疑惑があるのです。さらには、ロケで訪れる飲食店もいきあたりばったりの“ガチ”ではなく、事前に調査済みで、さらには宣伝パブリシティを交換条件に協力してもらっているのではないかという疑惑が根強い。協力してもらうことは問題ではありませんが、“ガチ”だと表現しているとなると微妙になってきます。それこそステルスマーケティングな色合いが濃くなってしま宇野です。
さらに、キャスティングについても、いささか問題があるケースがあるようです。怪しげなセレブ系タレントや投資家などについては、実際には資産を持っていないのに、持っているということで番組に出演していることがあるようなのです。あるいは、“年商〇〇億円”みたいなことを言っているけど、実はまったくの嘘だったということもあるとか。情報商材系の実業家に至っては、その詐欺行為に加担している場合もあります。こういった偽セレブな人々は、キャラクター的に面白いので、テレビの題材になりやすいんですが、バックに反社がいるようなこともあり、かなり危険なようです。コンプライアンス遵守の観点からも、本来は避けるべきであり、やらせと同様にしっかり排除する必要があるのです。
消滅の日は?
こうしてみると想像以上に”グレー”な番組が各局に存在していることが見て取れます。しかし、今回のTBSの件で連続して明るみになったやらせ演出に追随する形で、テレビ界のこのような様々なグレーな要素が駆逐される日も近いかもしれません。