来年の春に向けて、新小学1年生がいる家庭では、少しずつ準備を進めている頃でしょう。
しかし、長崎では、市町村の教育委員会が各世帯に届ける「就学(入学)通知書」について、ある母親からの疑問に、反響が寄せられたのです。
どうやら、「就学通知書」では、父と母の両方がいる場合、保護者氏名欄に「父」の名を書くように!との注意書きがあったのです。
民法では父母ともに子どもの教育に責任がある「共同親権」を認めている中、なぜ父が優先なのでしょうか?
注記を見た母親は、父親のほうが保護者の代表にふさわしいと言われたような気がしたそうです。
だが、フルタイムで共働きをする夫婦が一緒に2児を育てている家庭。
「行政が決め付けることではないと思う。それとも、私は代表としてふさわしくないのでしょうか…」
九州の政令市と県庁所在地市に確かめたところ、優先的に保護者欄に父の名前を書くよう求めていたのは長崎市教委だけでした。
他教委に関しては、保護者氏名の記入や提出は不要だったとのことでした。
また、長崎市教委がいつからこのような書式を取り入れたのかに関しては不明と言います。
保護者欄に父の名前を優先する理由として、「各家庭の状況を把握することで、学校が適切に対処できるようになる」、「父母の氏名が混在するよりも名簿を整理しやすくなる」などが挙げられます。
しかし、時代遅れの感は否めないのでしょう。
親権者に関して旧民法では原則父親でした。
戦後に改正された現在、両親がいる場合は共同親権を原則としています。
文部科学省や各学校が出す文書では、“男女平等”との観点から、保護者を表す言葉として「父兄」を使うこともなくなってきました。
長崎市保護者からの「違和感がある」との指摘が寄せられ、同市教委学校教育課の大塚潤課長は、「男女差別との誤解も招きかねず、次回から注記の削除を含めて検討したい」と述べました。
国際的な女性の人権問題に詳しい神奈川大法学部の近江美保教授も、該当通知書の注記に関してこのように指摘しています。
「なぜこんな対応をしているのかと驚いた。表現や運用が時代に合わないものになっており、変更作業を急ぐべきだ」
【引用:西日本新聞】
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