本には単行本と文庫本がありますが、あなたはどちらを選んでいますか。
出版物は、ハードカバーの付いた単行本から販売され、一定期間を過ぎた後に文庫本が出版されます。そのため、いち早く読みたいときは単行本が良く、そうでない場合は文庫本を読むのが一般的ではないでしょうか。
そして気になるのが、文庫化されるタイミングですよね。
文庫本は小さいので持ち運びも簡単ですし、ちょっとした時間にさっと読めるのでとてもで便利です。
ここでは、単行本が文庫化されるタイミングを調べてみましょう。
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◼︎文庫本化のタイミングは3年前後!
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文庫本化のタイミングは、出版社は原作者、またはジャンル、人気によって違ってきます。
例えば小説作品の場合は3年前後が多くなっており、その他の分野になると10年前後かかる場合もあります。
例えば「ガリレオ」シリーズでも知られているミステリー作家・東野圭吾さんの作品を調べてみると以下のようになります。
1993年9月に出版された「分身」の文庫化は1996年9月、また2009年9月に出版された「新参者」は2013年8月です。さらに2012年3月に出版された「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は2014年11月に文庫化されており、おおよそ3年前後がタイミングになっています。
また小説以外では5年以上かかる場合もあります。
北方謙三さん原作の「三国志」を例にすると、1996年11月~1998年10月にかけて全13巻が出版されましたが、文庫化は2001年6月~2002年12月に出版されており、5年前後かかったことになります。
日本にローマ帝国ブームを起こした塩野七生さんの「ローマ人の物語」シリーズ全15作の場合は、1992年7月に第1巻が発表、2006年12月に最終巻が発表されました。文庫化されたのは2002年6月から2011年8月になるため、初版本から10年前後、最終巻から計算すると5年ほどかかったことになります。
このようにジャンルによって文庫化のタイミングも違ってきますが、小説の場合だと3年ほど待てば文庫本を読めるようになりますし、歴史ものの場合は5年~10年前後かかります。point 650 | 1
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◼︎出版社の戦略や関連作品に影響される
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文庫化されるタイミングに影響をあたえるのは、出版社の戦略、作品の人気、関連作品の制作などです。
出版社としては、価格の高い単行本を販売することで新作を熱望するファンに手にとってもらいたいと考えています。熱狂的なファンであれば、高い価格でも買ってくれるので出版社や原作者にとっても利益になります。
その後、一定期間した後、価格も安く持ち運びやすい文庫化して、より多くのファンに手に取ってもらえるようにします。いわば「1つの作品を2度売る」というビジネスなのです。
また作品によっては文庫化されない場合もあります。これは作品の売れ行きが芳しくない場合は、文庫化を諦めたものと考えられます。
そして次に文庫化に影響するのが、関連作品の制作です。
関連作品の代表的なものが映画やテレビドラマです。映画作品では人気俳優が起用されるため、各媒体のメディアが注目しますよね。すると原作への関心も高まるため、関連作品の制作を機会に文庫化されることも多くなっています。
また文庫本と単行本では、中身が一部違っています。もちろんストーリーや登場人物、結末などは同じですが、文言や表現などが修正したり、解説やボーナストラックがつくため、同じ本であっても微妙な違いがあります。
中には結末などを書き換えてしまう例もあるため、熱心ファンは単行本と文庫本の両方を購入することもあります。point 588 | 1
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◼︎まとめ
文庫化のタイミングは、初版本から3年前後、歴史物になると5年前後かかることが多くなっています。
同じタイトルを二度売るという出版社の販売戦略は、人気の有無や売れ筋等の影響を受けます。また映画化やドラマ化のタイミングを捉えて文庫化されることも多くなっています。
単行本と文庫本は中身が基本的に同じですが、解説やボーナストラックなどがついているため、熱心なファンにも関心を持たれています。中には単行本と結末が変えてしまうこともあるので、必ずしも単行本と同じとはいえません。point 302 | 1