一般的なカメラのレンズが屈折を利用して光を集める「光学レンズ」であるのに対し、「ミラーレンズ」はその名のとおり鏡を使ったレンズで、2枚のレンズを合わせ鏡のように使用して反射させることで光を集めています。
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「反射望遠」とも呼ばれるこの構造は天体望遠鏡にも使われていて、小さなサイズにもかかわらず超望遠の撮影が可能という特徴があります。世界中の天文台の大型望遠鏡は、すべてこの反射望遠が使用されています。
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光学レンズのカメラと比較すると、使用するレンズの数が少なくて済むため圧倒的に軽くてコンパクト、しかも価格も驚くほど安いです。また、ミラーを使用しているため屈折率が原因で起こる「色収差」といわれる色のズレやにじみが出にくいというメリットもあります。ここまで聞くと、とても魅力的に感じられるミラーレンズカメラですが、そのわりに「ミラーレンズ」というワードを聞く機会は多くありません。これはなぜなのでしょうか。
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ミラーレンズ自体はかなり昔からあるレンズです。しかし、価格や本体の軽さといったメリットがあるのに対し、デメリットも多いことからこれまであまり普及することがありませんでした。
ミラーレンズはその構造上、副鏡と呼ばれる鏡がレンズの前方についており、一般的なカメラでは当たり前になっているオートフォーカス機能や絞りを使うことができません。絞り値が固定されていると暗いレンズになり、手ブレや被写体ブレが起こりやすくピントを合わせることが難しくなります。ほかにも「リングボケ」と呼ばれるミラーレンズ特有のドーナツ状のボケが発生するという特徴もあります。
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このようにミラーレンズカメラはコンパクトで安価ながら、クセが強く扱いにくいカメラなわけです。しかし最近のデジタルカメラは感度を調節できる幅が広く画像もかなり良くなっていることから、近年ミラーレンズの人気が復活しつつあります。レンズ自体もデジタルに最適化されており、ミラーレンズでも解像度の高い写真を撮ることが可能になってきました。
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ミラーレンズカメラは、リングボケを活かして独特の趣ある写真を撮ることができる点も魅力のひとつです。また、普通のレンズでは手が出ないような超望遠レンズもミラーレンズなら気軽に楽しむことができます。進化したとはいえ一般のカメラに比べればまだ扱いの難しいカメラですが、使いこなして人とは違う個性的な写真を楽しんでみてはいかがでしょうか。