新聞社や出版会社などには、校閲部という部署があります。
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記者によって書かれた記事や本として出版される原稿は、組版部やDTP部門へ回され、割り付けやレイアウトの指示どおりに組まれた後、まず校正紙に印刷されます。これが、通称ゲラと呼ばれているものです。このゲラの内容をチェックしていくのが校閲部の仕事です。
校閲部では何をしている?
校閲部では、原稿どおりに文字が組まれているか、割り付けどおりに紙面がデザインされているかをチェックしたり、問い合わせの電話番号や商品の価格など数字絡みの部分の確認作業が行われたり、資料をもとに内容の根拠を調べたり、時系列の確認がなされたり、じつにさまざまなことが行われます。
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一般に、校正と呼ばれる仕事は、校閲の仕事の一部として捉えられることが多いようです。単に原稿どおりに文字が組まれているかをチェックするのは文字校正と呼ばれますが、校正の多くは、まずこの文字校正のことと捉えられます。そのため、最初の作業として行われるのは、元原稿と付き合わせての一字一字のチェックです。次に、素読みといって、原稿を離れて、書かれている内容が文法的にきちんとした文章になっているか、誤字脱字がないかなどが確認されます。point 282 | 1
校閲の仕事は何?
校閲の仕事は、印刷物がどのような目的のものであるかで、作業内容の比重のかけ方なども変ってきます。
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たとえば、スーパーのチラシなどでは、商品の値段などは決して間違ってはいけない情報になります。もちろん、すべてにおいて完璧を目指すのは当然なのですが、納期などのある場合は、校正する対象に多少の優先順位がつけられます。チラシの場合は、価格や日付けが最優先ということです。
印刷物がカラーの場合は、文字校正などと並行して、色校正も行われます。特に、ポスターやカタログなど色にこだわる印刷物の場合は、色やデザインに関する部分は念入りにチェックが行われます。point 223 | 1
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ポスターの中のモデルの顔にゴミなどがついていないか、服の発色は大丈夫かなど、チラシとはまた違った部分のこだわりでチェックが行われます。
まとめ
校閲の仕事というのは、ある意味では校正の仕事をさらに深めた仕事ということができるでしょう。文字のチェック、色のチェックに加え、印刷物に書かれている内容は法律的に間違いのないことか、歴史的な背景は正しいか、ほかの説などについても調べて、原稿の内容の信頼性が確固たるものになるように進められていきます。
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校閲の仕事の進め方として、その本の著者が自分であると考え、自分の書いた内容に責任を持って疑問点がないようにすることを目指すように、ということが言われます。そのため、一冊の本の校閲を終えると、その一冊に関しては、著者よりも自分のほうが詳しいと錯覚するまでにもなっています。むしろ、自分が書いた本なのかもしれないなどと思うこともあるようです。それこそが、校閲の仕事のだいご味でもあるのです。