ジブリ映画「風立ちぬ」は2013年に公開された宮崎駿監督の長編アニメーションです。実在の人物、堀越二郎をモデルに一人の青年が飛行機の設計にかけた情熱をどこまでもまっすぐに描いた作品です。
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堀越二郎には声優庵野秀明さん
毎回、個性的なキャストで話題になる宮崎駿監督の作品ですが、「風立ちぬ」でも独特の雰囲気をもった人々が声優として起用されました。
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主人公である堀越二郎には庵野秀明さんが抜擢されました。ご存知の方も多いかも知れませんが社会現象にもなったアニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」を手がけた監督の庵野秀明さんです。彼と宮崎駿監督は師弟ともいえる関係で、過去に宮崎監督が作った映画「風の谷のナウシカ」(1984年公開)のワンシーンを庵野さんが作画を担当したというエピソードがあります。
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「風立ちぬ」でも最初、庵野さんは作画スタッフとして参加させて欲しいとジブリ側に申し入れたのですが、「主人公の声を演じて欲しい」と宮崎監督から要請され、堀越青年の声を演じることになりました。宮崎監督は引退会見(後に撤回)の席上でも話していたのですが、庵野さんを主人公の声優に選んだ最大の理由は「存在感」からだそうです。堀越青年の「早口」、「滑舌がよい」、「凛としている」というイメージに合っているということもあったのですが、何よりも話しているだけでその声に存在感があったこと。これが抜擢の決め手になったとのことです。
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宮崎監督が単なる話題性をねらって庵野秀明さんを起用したのではないことは、作品を見れば分かります。彼の声を得て、これ以上はない「堀越二郎」が生き生きと「風立ちぬ」の世界で活躍することとなったのです。
菜穂子には女優の瀧本美織さん
堀越青年と恋に落ち、やがて結婚することになる菜穂子には女優の瀧本美織さんが起用されました。
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彼女の声を聞いた途端、宮崎監督は「菜穂子はこういう声の持ち主だ」と断言し即座にキャスティングを決定しました。そして、これまた引退会見上で話していたのですが撮影が進むにつれてますます「菜穂子らしく」なって行ったそうです。作品が完成した後、「美織ちゃんに会えて本当に運が良かった」と言った宮崎監督の言葉に瀧本さんは涙を流して感激。その感受性の高さも彼女が起用された要因ではないでしょうか。
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他にも、職場で私生活で堀越青年を見守る黒川役に俳優の西村雅彦さん、また彼の上司の服部役に俳優の國村隼さん、二郎の母親役に女優の竹下景子さん、堀越青年が憧れる航空機設計者カプローニ役に狂言師の野村萬斎さんなどなど、実に個性豊かな面々が出演しています。