今年2月、アメリカの『FOX 10 Phoenix』が、驚きの事件を報道しました。双子の赤ちゃんを出産したモニークさんは、赤ちゃんが軽い脳出血を起こしていたのに、病院スタッフはその事実を隠していたと主張しています。赤ちゃんの様子を撮影していた父親が捉えた動画には、不注意で赤ちゃんがベッドに頭から叩きつけられて落ちる瞬間が映っており、病院は赤ちゃんが軽い脳出血を起こしたことを把握していたものの、その事実を両親に告げることはなかったそうです。
動画
今年2月14日、米アリゾナ州マリコパ郡のチャンドラー地域医療センターで、双子の誕生の様子を父親のデリック・ロジャーズさんは動画に収めていました。その動画には、最初に生まれたモーガンちゃんが、小さなベッドの上で3人のスタッフに囲まれて、乱雑に身体を拭かれていました。しかし、次の瞬間、男性スタッフが片手で持ち上げたところ、そのまま手から滑り落ちベッドに頭から叩きつけられてしまいます。
デリックさんはその日のことを『People.com』に次のように語っています。
「モーガンはもう少しで床に落ちるところでした。ショックでしたがその時は何もできず、モーガンが新生児特定集中治療室(NICU)に連れていかれた後で、妻にそのことを伝えました。」
とその時はあまりの出来事にどうしていいかわからなかったと話すデリックさん。しかし、その後の医療スタッフに事実の確認をしにいったそうです。
「その後NICUに行って、スタッフに娘を落としたことを問いただしました。すると彼は関心がない様子で『落としそうになっただけ』と言いました。しかしビデオを見せた途端、口を閉ざしたのです。悪いことをしてしまったという罪の意識があったのかどうかはわかりません。でも『そうです。赤ちゃんを落としました』と言えば自分の非を認めるようなものですから、何も言わなかったのでしょうね。」
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責任を問われることを避けるために事実を認めようとしない病院側、信じられません。
「その日から毎日、病院スタッフには娘が頭から落とされたことを伝えました。でも特に気に留めている様子もなく、病院からはそのことについて何の説明もありませんでした。後から生まれたマディソンは元気でしたが、モーガンは身体の震えが止まらず、鼻から吐き戻していたようです。マディソンは妻と一緒に先に退院できましたが、モーガンは12日間もNICUで過ごさねばなりませんでした。退院しても震えが止まらず体調が優れないようだったので、妻が他の病院の小児科に連れて行きました。すると小児科医に『チャンドラー地域医療センターでは脳の超音波検査をしていたようです。モーガンちゃんは脳出血を起こしていたようですね』と言われたのです。私たちはモーガンが検査をしていたことさえ知らなかったわけですから、もちろん検査結果など知る由もありません。もしその事実を知っていたら、ずっとモーガンのそばに付き添っていたでしょう。」point 496 | 1
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検査していたほど症状が悪化しているにも関わらず、退院させたという地域医療センターのスタッフ。その後回復する様子もないモーガンちゃんをどうするつもりだったのでしょうか。
「結局、病院から検査をしたことを知らされたのは、6週間後のことでした。健康上の問題があるのに何も知らされずに退院し、自宅でモーガンに何かあったらどうしろと言うのでしょう。」
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考えただけでも恐ろしい出来事に、デリックさんから動画を見せられた妻のモニークさんは、「スタッフはまるでジャガイモが入った袋でも扱っているかのように娘の処置をしています。あのビデオはもう二度と見ないことに決めました」と怒りをあらわにしました。そして今月1日になって、モニークさんは「同じことが起きないように」との願いを込めて、その時の動画をFacebookで公開しています。
この動画はメディアにも取り上げられ、あっという間にネット上に拡散することとなります。それを受けて事の重大さに気付いた病院側は、今まで事実を認めない態度をとり続けていたにも関わらず、デリックさんに謝罪の電話をしてきたそうです。
「病院のお偉いさんから電話がありました。これまで謝罪もなくなしのつぶてだったのに、大事になって慌てて連絡をしてくるなんて…」とあまりにも誠意のない対応に納得がいかない様子のデリックさん。
そしてモニークさんも、態度を180度変えてくる病院側のやり方に怒りが治りません。
「モーガンの脳の左側で起きた出血はグレード1の軽症だったようです。娘の出生体重は1474グラムしかなく、脳出血が低体重によるものなのか、それともスタッフによって落とされたことによるものかはわかりません。でも9か月もお腹にいた赤ちゃんが、病院スタッフの一瞬の不注意によって落とされてしまったわけです。病院側はだんまりを貫き通していましたから、娘の脳へのダメージは一時的なものなのか、それとも一生障害が残るのか、それさえもわからないのです。娘はいまだに身体の震えが止まりません」point 299 | 1
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なお、動画が公開されたことで”子供の命より病院の保身を考える最低な病院”として注目を浴びることとなったチャンドラー地域医療センターは、メディアに対し「プライバシー法と家族の希望によりコメントは控えさせていただきます。患者の安全を最優先として対応しておりますが、この件を真摯に受け止めしっかりした調査を行ってまいります」と声明を出しています。(写真(下)病院側の声明文)
その後モーガンちゃんは6月に病院で詳しい検査を行う予定になっており、デリックさんは「私たちが望むのは娘が元気で幸せであることです。病院スタッフは患者をもっとリスペクトすべきです。病院からきちんとした説明と謝罪の言葉が聞けることを願っています」と話しています。
original video from FOX 10 Phoenix