京都府警サイバー犯罪対策課と南署は 22日、私電磁的記録不正作出・同供用と偽計業務妨害の疑いで、岸田治子容疑者(51)と息子の治博容疑者(30)を 宿泊予約サイトを通じて高級ホテルに虚偽の予約を入れ、コンビニなどで使える「Tポイント」を不正に入手したとして、逮捕しました。捜査関係者への取材で明らかになりました。
虚偽の宿泊予約を 2215回!
親子は昨年2~10月、全国のホテルで虚偽の宿泊予約を 2215回繰り返しており、190万円相当のTポイントを 不正に得ていたとみられるということです。
捜査関係者によると、親子は昨年8月、インターネットのホテル予約サイト「一休ドットコム」を通じて、京都市内の四つのホテルに偽名で宿泊予約を入れた後、無断でキャンセルし、ホテルの業務を妨害するなどした疑いが持たれています。
捜査関係者の説明では、親子は同サイトで宿泊予約すれば、料金の一部が「Tポイント」として還元されるサービスを悪用。具体的には 「一休.com」でホテルを予約すると、料金の1%から最大20%のポイントがつくため、2人は、このポイントを目当てに、予約を繰り返していたとみられます。
キャンセル後も、ポイントは受け取れる?
しかし、なぜ、キャンセルをしているにもかかわらず、ポイントを受け取ることができたのでしょうか?
同サービスは、予約者が無断キャンセルしても、ホテル側が一定の手続きをしなければポイントが付与される仕組みだったといいます。
宿泊予約サイトでは、宿泊を無断でキャンセルした場合、ホテル側が予約サイトに連絡をして、ポイントを取り消すことになっています。しかし、ホテル側がこの処理をしないと、ポイントは取り消されずに受け取れるということです。こうした、「連絡忘れ」を狙って、繰り返し犯行に及んだとみられています。
2人は、獲得するポイントが高いホテルなどを意図的に狙って、宿泊予約を繰り返していたのですが、2人が犯行に使っていたのが、「Tポイントカード」です。
不正が発覚しないように、2人は62枚ものTポイントカードを作り、複数のIDを使い分けていたのです。そして、全国のホテルで 2,200回以上、8,000万円を超える宿泊予約を無断キャンセルすることに…
このうち、予約サイトに連絡がいかなかった、およそ190万円相当のポイントを不正に得ていたとみられていますが、2人は、不正ポイントを使ってホテル暮らしをしていたようです。
190万円相当のポイントは、誰の負担に?
「一休.com」は、取材に対し「一休側が負担するポイント分は1%で、それ以外のポイント分はホテル側が負担する」としたうえで、「再発防止に向け、改善を図る」と回答しました。
「各社によって不正に対する臨み方が違うので、一概には言えないですけど、原理的には、(ほかのサイトでも)起こりうるものだと思います」と、ポイントサービスにくわしい専門家の株式会社エムズコミュニケイト・山根浩也さんは 話しました。
警察の調べに対し、治子容疑者は容疑を否認していますが…
息子の治博容疑者は、「母親と一緒に偽名を使い、宿泊予約をしたことに間違いありません」と容疑を認めているそうです。