昨年の音楽界を席巻した シングル「炎（ほむら）」のヒットで、日本レコード大賞受賞。そして「残酷な天使のテーゼ」が長らく最高峰だったアニソン界でも「紅蓮華」はそれに並ぶ勢いだという。『SONGS』（NHK）、『ミュージックステーション』（テレビ朝日系）、『徹子の部屋』（テレビ朝日系）とテレビ出演が立て続けの最近のLiSA。
そんな破竹の勢いの彼女の特集が、去る5月30日『関ジャム 完全燃SHOW』（テレビ朝日系）で放送されました。
LiSAの注目ポイントは「低音の凄さ」⁉ 平原綾香よりも低音を歌っているLiSA…
平原綾香「Jupiter」の冒頭「Everyday」の箇所より、LiSAの楽曲「dawn」は低音を歌っているというのですが…。
「低音を育てることによって、高音をふくよかに伸ばせていけるという自覚があったので、低音を伸ばすトレーニングをしています」（LiSA）
コーラス／ボイストレーナーの今井マサキとシンガーソングライターのオーイシマサヨシが挙げたLiSAの注目ポイントは「低音の凄さ」だという。彼女の曲を聴くと高音が印象に残りがちだが、プロは低音ありきの音域の広さに着目しているようです。
やはり、低音は低音で それ用の練習をしている模様。LiSAが行うのは坂本九「上を向いて歩こう」のキーを半音ずつ徐々に下げて歌うというトレーニングなのでした。
ちなみに、MISIAは5オクターブ、浜田麻里は4オクターブが出ると言われている。思うに、LiSAは数値以上に音域の広さをリスナーに印象付けるヴォーカリスト。おそらく、これは高音から低音へのギャップが作用しているようです。まさに、ふくよかな低音によって高音の艶が増しているのでしょう。
”歌い方の設計図”も公開⁉ 憧れは稲葉浩志（B’z）…「Another Great Day!!」はB’zの松本が作曲
LiSAは事前に「ここは裏声にしよう」など綿密にヴォーカルプランを立てるタイプ。「炎」を歌う際の貴重な歌唱メモが今回は公開されたのですが…。様々な色で線が引かれ、所々にメモ書きが挿入。歌詞を四角で囲っている箇所は狙って裏声にしているという。また、歌唱メモには「（おかみ）」と記してある箇所も…。point 208 | 1
「あの、途中にある『おかみ』って誰なんですか？」（大倉）
「経営の辛いおかみですか？」（村上）
実は ここは、旅館の女将が「失礼します」とふすまを開けてひょっこり入って来るような間を意識する部分だとか…。笑いにするつもりで関ジャニは突っ込んだのに、本当に女将のことだったという。
もちろん、設計図を忠実に表現できるのは彼女の技術ありきのことですが… LiSAは、このような“歌い方の設計図”を元に 練習を繰り返しているという。
そんな LiSAが 特別にリスペクトするヴォーカリストが、B’zの稲葉浩志、工藤静香、アヴちゃん（女王蜂）の3人だという。
特に LiSAは 稲葉のパワフルな高音に惹かれているのですが、去る99年「Brotherhoodツアー」横浜国際総合競技場（日産スタジアム）公演で ソロ曲「遠くまで」を弦楽四重奏団を従え歌っていた稲葉が、途中から完全アカペラに切り替えて熱唱した伝説の場面では、ファン曰く、このときの稲葉のヴォーカルは1階スタンド後方まで生声で聴こえてきたという。
そんな稲葉をリスペクトしているゆえに、LiSAもヴォーカリストとして鍛えられたようです。また、筋金入りのB’zファンである彼女が 松本孝弘（B’z）作の楽曲「Another Great Day!!」を歌うことになったことも感慨深いといえます。
また工藤静香に関して LiSAは…
「強い女性の声と少女のような声を使い分ける表現力が凄い」と評価。特に中島みゆきによる名曲「慟哭」をこう語っていました。
「サビの『気がついたの』が少し可愛いのに対して、その後の『泣いて泣いて泣いて わかったのに』でどんどんふくよかな表現がついていく。1曲の中でコロコロ変わる表現力が凄い… 」（LiSA）
そう言われると、工藤の歌声を少しアニソン側に寄せるとLiSAになるという印象も…。2人の声質は少し似ているのかもしれません。
沖縄アクターズスクールには、SPEEDに憧れて入学し、岐阜に帰郷してからはパンクバンドのヴォーカリストとして活動。その後、紆余曲折を経てアニメ『Angel Beats！』の挿入歌を担当し、アニソン界に足を踏み入れたLiSA。
『アニソン歌手と呼ばれたくない』とこぼしていた」と報道されたこともあったようですが、今や完全にアニソン界を牽引する旗手に…。彼女の日々の努力や鍛錬ゆえに、「紅蓮華」の大ヒットも 偶然ではなく必然だったのではないでしょうか。