先天性耳瘻孔(fistula auris congenita)は遺伝が関係するものですが、多くの場合耳の付け根、前側の上の方に針で突いてできたような小さな孔(穴)のことを言います。医学界では先天性耳瘻孔を奇形の一種として分類されますが、患者本人に何の症状もなければ治療する必要はなく、放置してもかまいません。
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実際に先天性耳瘻孔がある人の3分の1は、自分の耳にこのような穴があったことすら気づいていなかったという研究結果もあります。
英国メディアビジネスインサイダーによると、先天性耳瘻孔は白人より、アジア人や黒人に多く見られると言われています。アメリカや英国など、白人が多く住んでいる国では先天性耳瘻孔の人の比率が1%未満となっていますが、日本のようにアジア圏では2.5%、アフリカの一部の地域では10%に至るようです。
先天性耳瘻孔の原因はまだ究明されていませんが、遺伝的な要因が大きいと知られています。
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アメリカシカゴ大学解剖学の教授であり、世界的な進化生物学者ニール・シュービンは、「先天性耳瘻孔は魚類のえらが退化した跡であり、その名残がこの孔に感じられる」と主張しました。
彼の著書、「私の中の魚(2008年)」によれば、手や頭などの人間の身体は魚のひれや、昔に絶滅した魚類の頭に似ているところが多いとし、実際にも人間の解剖構造は魚類や爬虫類などの生物に似ているんだとか。
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シュービンはこういった人間の身体を通して、「人間は魚の体を少し進化させたレベルだ」と主張しました。魚類が水から陸へと生活を移し、両生類や哺乳類へと進化したというんですね。
先天性耳瘻孔は両耳どちらにもできる可能性はありますが、右耳にできやすいと知られています。