特急にはねられる事故
3日夜、山梨市のJR中央線の踏切で、電動車いすに乗った85歳の女性が特急電車にはねられ、死亡しました。
3日午後7時すぎ、山梨市正徳寺にあるJR中央線の踏切で、新宿発松本行きの下り特急「あずさ」が線路内にいた電動車いすに乗った女性をはねました。女性は近くに住む最賀まさえさん(85)で、その場で死亡が確認されました。電車にはおよそ400人が乗っていましたが、怪我はなかったようです。
一体、なぜこのような悲劇が起きたのでしょうか?
障害物検知装置作動せず
事故があったのは山梨市正徳寺にあるJR中央線の踏切です。事故があった現場は、山梨市駅と春日居町駅の間の住宅街にある赤斐山踏切。踏切は幅約2メートル、全長約10メートルで警報機と遮断機は正常に動いていました。
捜査関係者によりますと現場検証の結果、踏切内には車いすが脱輪したような目立った跡は見当たらなかったということです。また、特急の運転士は「車いすの後ろで手を振る女性が見え、ブレーキをかけたが間に合わなかった」。「車いすが何かにはまっている様子は見受けられなかった」と話しています。
一方、踏切内の障害物を自動的に検知して600メートル手前で運転士に知らせる装置は事故当時は作動しなかったこともわかりました。警察は、最賀さんの車いすが踏切内で動かなくなり立往生したとみて事故の原因を調べています。
おばあちゃんは畑仕事が生きがいだった
事故から一夜明けた4日、長男の実さんと妻の典子さんは苦しい胸の内を明かしています。
「おばあちゃんは畑仕事が生きがいだった。近所の人に、畑で作ったカボチャをよくあげていました」
最賀さんは数年前に大腿(だいたい)骨を骨折し、大好きな畑に1時間近くをかけて歩いて通っていました。その姿を見て、実さんたちが約1年前にプレゼントしたのが電動車いすだったのです。今回の事故は、畑から自宅に帰る途中に起きたとみられています。
「プレゼントしなければよかった、という後悔の気持ちもある。でも、おばあちゃんの生きがいを支えてくれた大切な移動手段。使う側も周囲も一緒になって、電動車いすを安全に使える社会を考えていければ」と実さんは語っています。
まとめ
最近では、電動車いすの操作も慣れていたという最賀さん。息子さんの気持ちを考えると心が痛くなる、そんな事故です。踏切の検知器は一体なぜ作動しなかったのでしょうか。作動していれば、未然に防げるた事故だったのかもしれません。