昔のアイドルやスターは、手が届かない存在であり、憧れの対象でした。しかし現代は握手会というイベントが生まれたため、アイドルはより身近な存在になっています。握手会に参加をすれば、憧れのアイドルに直接声をかけて、応援の気持ちを伝えることができるのです。熱心なアイドルファンにとって、こんなに嬉しいことはないのではないでしょうか。ファンの期待にこたえるため、握手会を開催するアイドルはどんどん増加していき、最近ではもはや定番のイベントになりました。しかしある時、そんな握手会に、大きな問題が生じ、社会的に注目を集めることとなります。
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その事件は、「握手会傷害事件」としてニュースになり、その恐ろしい内容に多くの人がショックを受けました。被害にあわれたのは、その日握手会に出席していたアイドルである、入山杏奈さんと川栄李奈さんです。事件は2014年の5月、岩手県の文化センターにおいて行われた、AKB48握手会で発生しました。突如、のこぎりを持った男が現れ、ファンと握手をしていた入山杏奈さんと川栄李奈さん、そしてスタッフ一名を切りつけたのです。犯人はその場でスタッフたちに取り押さえられたのですが、被害にあった3人は、骨折や裂傷などの怪我を負ってしまいました。すぐに病院に搬送されて治療を受けた3人は、事件の翌日に、退院をしています。
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楽しいはずの握手会で、なぜこんな恐ろしい事件が発生してしまったのでしょうか。犯人の供述によると、犯行動機はテレビでAKBを見て、不満に思った、ということだそうです。この犯人は2014年の1月に警備の仕事を解雇されており、テレビに出ているAKBは多額の収入を得ているに違いない、と妬むようになったそうです。被害にあわれたアイドルは入山杏奈さんと川栄李奈さんでしたが、この二人を狙ったわけではなく、AKBのメンバーであれば誰でも良かった、と供述しています。
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犯行に使われたのこぎりは、もともと男の自宅にあったものであり、刃渡り約20cm、全長約50cmというかなり大きめな刃物でした。さらに犯人は、こののこぎりにカッターナイフの刃を接着するという、改造まで行っています。事件当日、犯人は改造したのこぎりを持って握手会に向かい、握手券を一枚使用して下見を行っています。その後、並んでいる人が少ない列を選んで進み、まず目の前にいた川栄李奈さんへと、襲いかかりました。川栄李奈さんが伏せると、次は入山杏奈さんに向けて凶器を振り下ろし、負傷させています。この時、犯人は二人の頭部を狙っており、とっさに頭をかばったことから、入山杏奈さんと川栄李奈さんは主に手を負傷しています。
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入山杏奈さんは右手の小指を骨折し、裂傷を負ったほか、左手の親指も負傷したそうです。休養後すぐ、テレビ番組や舞台などで活躍をしていますが、手袋やサポーターをつけた痛々しい姿に、ファンは心を痛めました。事件後1年が経過した頃には、手袋を取ることが出来ていますが、まだ完全に回復したわけではないようです。
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川栄李奈さんも、事件から2週間後には、レギュラーをつとめていたテレビ番組に出演し、元気な姿を見せていました。しかし、負傷した右手はギブスによって固定されており、怪我をおして頑張る姿が、ネットでも話題を集めていました。
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恐ろしい事件に巻き込まれた二人ですが、その後も芸能活動を続け、ドラマに出演するなど、女優としてのキャリアを重ねています。二人が負った怪我は重く、リハビリが必要だった時期も長いといわれていますが、その困難を乗り越えて、活躍を続けているのです。決して許せない恐ろしい事件でしたが、被害にあわれた二人は、それに負けない強さを持っていたといえます。