今世界中で感染者の拡大が止まることを知らず、テレビをつければ、新聞を見ればそこに出てくるのは「新型コロナウィルス」の感染者と死亡者についてのニュース。終わりのない戦いのように見えるコロナウィルスですが、実は過去に他にも流行したウィルスが多くあります。
SARS
SARSコロナウイルスによって引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患で、動物起源の人獣共通感染症と考えられています。2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部を中心に起きたアウトブレイクでは、世界保健機構 (WHO) の報告によると、広東省や香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡したとされています。
ハンセン病
ハンセン病は、抗酸菌の一種であるらい菌の皮膚のマクロファージ内寄生および末梢神経細胞内寄生によって引き起こされる感染症です。感染経路は、らい菌の経鼻・経気道よりのものが主であるが、他系統も存在します。らい菌の感染力は非常に低く、治療法も確立した現状では、重篤な後遺症を残すことや感染源になることは無いものの、適切な治療を受けない・受けられない場合、皮膚に重度の病変が生じ、他者へ感染することもあります。2016年のWHOによる統計では、世界におけるハンセン病の新規患者総数は、年間約21万人、一方、日本の新規患者数は年間で0〜1人に抑制され、現在では極めて稀な疾病となっています。
ノロウイルス
ノロウイルスは、ウイルス性胃腸炎を引き起こすウイルスの一属で、感染者の糞便や吐瀉物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染するほか、河川を経由して蓄積された貝類の摂食による食中毒の原因になる場合もあります。
梅毒
梅毒は、スピロヘータの1種である梅毒トレポネーマ によって発生する感染症です。第一感染経路は性行為であるため性病の1つとして数えられるものの、妊娠中、出生時の母子感染による先天性梅毒もあります。梅毒は、1999年、全世界で推定1200万人で新規感染したと考えられており、その90%以上は発展途上国での感染です。1940年代のペニシリンの普及以降、発症は劇的に減少しましたが、2000年以降、多くの国々で感染率が増加しつつあります
エイズ
エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす疾患です。照屋勝治はエイズを慢性ウイルス血症による「全身性炎症性疾患」としています。性感染症の一つで、HIVに感染しただけでAIDSを発症するのではなく、HIVに感染した人が、免疫能の低下により23の合併症のいずれかを発症した状態のことを意味します。
インフルエンザ
インフルエンザとはインフルエンザウイルス急性感染症のことで、上気道炎症状・呼吸器疾患などを呈します。流行性感冒、略して流感とも呼ばれます。全世界では毎年 300 から 500 万人が重症化し、呼吸器系の症状により 29 から 65 万人の死者を出しています。先進国における死者は 65 歳以上が最も多いとされています。また病欠・生産性低下といった社会的コストも大きく、感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染が主といわれています。抗インフルエンザ薬としてタミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなどが存在するものの、ウイルスはすぐに耐性を獲得するため、その効果も備蓄するに値するかどうかが見直されてきています。
マラリア
マラリアは、熱帯から亜熱帯に広く分布する原虫感染症で、高熱や頭痛、吐き気などの症状を呈します。悪性の場合は脳マラリアによる意識障害や腎不全などを起こし死亡することもあります。日本の古典などで出てくる瘧(おこり)とは、大抵このマラリアを指していました。マラリアは予防可能、治療可能な病気ですが、全世界ではマラリアに年間2.16億人が感染し、うち44.5万人が死亡しています。
周産期合併症
周産期合併症とは、周産期心筋症の合併症です。周産期心筋症は、心臓の収縮力が低下することによって、感染症・心内血栓症・DICという3つの合併症が起こるリスクがあり、これらは相互に影響を及ぼします。また胎児が合併症を起こし、死産や未熟児となるケースもありえます。
ジフテリア
ジフテリア は、ジフテリア菌を病原体とするジフテリア毒素によって起こる上気道の粘膜感染症で、感染部位によって咽頭・扁桃ジフテリア、喉頭ジフテリア、鼻ジフテリア、 皮膚ジフテリア、 眼結膜ジフテリア、生殖器ジフテリアなどに分類できる。腎臓、脳、眼の結膜・中耳などがおかされることもあり、保菌者の咳などによって飛沫感染します。
鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザとは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症です。ウイルスの中には、家禽類のニワトリ・ウズラ・七面鳥等に感染すると非常に高い病原性をもたらすものがあり、このようなタイプを高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)と呼び、世界中の養鶏産業にとって脅威となっています。また、このうちH5N1亜型ウイルスなどでは家禽と接触した人間への感染、発病が報告されており、今のところ一般の人に感染する危険性は極めて低いが、ヒトインフルエンザウイルスと混じり合い、人の間で感染(ヒトヒト感染)する能力を持つウイルスが生まれることが懸念されています。
細菌性赤痢
赤痢は、下痢・発熱・血便・腹痛などをともなう大腸感染症です。糞尿などから食物や水などを経由し、経口感染するケースが大半です。わが国の赤痢患者数は、戦後しばらくは10万人を超え、2万人近くもの死者を出しましたが、1965 年半ば頃から激減し、1974 年には2,000人を割り、以降1,000人前後で推移しています。
はしか
はしかとは、麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性感染症で、罹患すると、医療が整った先進国であっても死亡することもあり、日本では「麻しん」として感染症法に基づく五類感染症に指定して届出の対象になっています。麻疹は、麻疹ウイルスによるものであり、その感染力は極めて強く、同じ空間に患者と居るだけで感染してしまい、マスクや手洗いでもウイルス侵入は防げません。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染と多彩です。
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