50年以上の長きにわたり、人々に愛されてきた着せ替え人形「リカちゃん」が登場する、とあるInstagramアカウントが、絶大な支持を集めています。人形遊びの定番パートナーとして、長くの間、多くの人々の心をつかんできたリカちゃんですが、 Instagramアカウント「現実を生きるリカちゃん」(licca_real)では、どの投稿でも、会社員になったリカちゃんが、悲哀に溢れた表情や怠惰な暮らしぶりについて、画像や動画を投稿しています。
例えば、「仕事終わりのリカちゃん」と題された投稿では、髪を振り乱しソファの上でごろ寝する姿のリカちゃん。そばにあるテーブルの上には、メイク落としに使ったと思われる黒ずんだティッシュもあり、哀愁漂う一枚になっています。他にも、 ベッドの上に、スウェットや下着などが散乱している光景を、呆然と眺める様子を写したものもあり、足元には、たこ足配線状態の延長コードが置かれ、凄まじいほどの生活感が映し出されています。
寝坊後、慌ただしく出勤するまでの「モーニングルーティン」動画などを含め、これまでに40以上のコンテンツが公開されていて、高評価の数が、数千~数万単位に上る投稿も少なくありません。 アカウントのフォロワー数は、継続的に増加していて、さらにTwitter上に投稿された関連画像が話題となり、現時点で、85万人を超えました。
「取り上げるシチュエーションは、ほぼ私自身の日常の切り抜きです」と投稿者の20代女性会社員は語りました。女性は、 幼少期に毎日のようにリカちゃんで遊んでいたそうで、大人になってからはInstagram上の「リカ活(大人が様々な形でリカちゃんとの時間を過ごすこと)」画像などを見て、楽しんできたといいます。その時にみた画像のように、『ズボラでだらしない、こんな自分でも、リカちゃんに投影したら可愛くなるのかな?』と興味が湧いたことが、取り組みのきっかけとのこと。 創作は試行錯誤の連続で、コンテンツの雰囲気に合うよう、ネットで衣装を購入したり、自作したり、写真撮影は、納得の一枚が撮れるまで粘るそうです。
女性は以前Twitterで「現実を生きるリカちゃん」について、 「ただの社畜独身女がストレス社会を生き抜くためにリカちゃんに自分を投影しているアカウントです」と、つづりました。投稿者の 思いは情報の受け手にも伝わり、「自分の日常かと思った」「私も同じことやってる」など、リカちゃんに自らの姿を重ねる人々のコメントが多く寄せられています。
女性は、YouTubeチャンネル「現実を生きるリカちゃんねる」も運営し、大人になったリカちゃんの毎日を、多方面に発信しています。さらに女性は、「リカちゃんは、私と一緒に年齢を重ねています。その時々の出来事、思っていること、流行っていることを映し出していければ。『人間と同じく、リカちゃんにも色んな生き方があるのかもね』くらいに思って頂きたいです」 「この取り組みは、私自身をリカちゃんに重ね『リカちゃんが可愛いってことは、同じ境遇にある私も可愛いってことだ』と、自分を愛でるためのものです。コンテンツを見て下さる方にも、そうして頂けたらうれしいですね」と、これかもリカちゃんと一緒に過ごす世界を発信する抱負を語りました。
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