誰もが知っている“東京大学”。
あのかの有名な“赤門”をくぐることができれば、一流への道まっしぐら…かと思いきや、たまに道を外す人もいます。
東大農学部４年生の男子学生、宮下岳（２２）容疑者もその一人。１月１７日、小田急線内で女子高生（１８）の下着の中に手を入れるなどした疑いで現行犯逮捕されました。
警察によると、宮下容疑者は１７日、走行中の小田急線の電車内で、女子高校生の下着の中に手を入れ下半身を触るなどした疑いがもたれています。女子高校生が「痴漢です」と叫び、宮下容疑者は登戸駅に到着後、逃走したが、同じ車両に乗りあわせた警視庁の警察官が１００メートルほど追いかけ、現行犯逮捕したとのことです。
調べに対し、宮下容疑者は「痴漢する相手を探していた」と話す一方、「パンツの上から触った」などと容疑を一部否認しているそうです。
宮下容疑者は去年と２０１８年も痴漢行為で逮捕されていました。
今回の容疑は強制わいせつ罪です。
宮下容疑者が容疑を一部否定しているという、“下着に手を入れていなかった”場合と“入れていた”場合とでは、どう異なるのでしょうか。
刑事弁護にくわしい弁護士の話では、「性的自由に対する侵害が強いほど強制わいせつで立件される可能性が高い」といいます。
また、痴漢事件では、「迷惑防止条例違反」か、今回のような「強制わいせつ」の容疑で逮捕されるケースがありますが、これらの罪の線引きはどこで引かれるのでしょうか。
線引きを行う際、まず強制わいせつ罪が成立するか否かを判断することになるといいます。
理論的には、最高裁平成２９年１１月２９日大法廷判決により
『行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断』
するというものです。
その上で、強制わいせつにはあたらないとしても、『わいせつな行為に至らない程度のみだらな言動』であるとされれば条例違反となります。
どちらの罪名で立件するかは、各地の警察で、触った部位や態様によって一定の基準が設けられています。東京都であれば警視庁の基準がありますが、最終的には個別判断となります。
一般論としては性的自由に対する侵害が強いほど強制わいせつで立件される可能性が高いといえます。ただ、警察が強制わいせつ罪で逮捕しても、検察官の判断で迷惑防止条例違反で起訴されることもあるそうです。
最後に、今回逮捕された宮下容疑者のように、「下着の上から触った」と話している場合、下着の上からであったとしても、強制わいせつ罪にあたる可能性はあるのでしょうか。
触った部位や執拗さによっては当然ありえるとのことです。着衣の上から触った事案より、下着の上から触った事案の方が性的自由に対する侵害の度合いが高いと考えられているそうです。
上記のことから、痴漢に対する基準というのはまだまだ曖昧な部分が多いようです。
また、刑罰も軽いことから、今回の宮下容疑者のような度々痴漢を犯す人間に対しては、罪も重くするべきだという声も上がっています。