統合失調症判定テスト
今までの統合失調症の診断は、本人および家族への丁寧な問診やロールシャッハ検査が用いられるなど、医師の主観に基づくものがほとんどを占めていました。しかし、この病気のチェックテストとして錯視画が有効であることが研究者によって突き止められました。
このテスト、なんと正解した人が『統合失調症』の可能性が高いのです。この病気でない人には見分けにくい錯視が、統合失調症患者には簡単に見分けることができるのです。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン＝UCL眼科研究所のスティーブ・デイキン博士によると、統合失調症の患者は常に幻覚を見ていると思われがちで、確かに彼らの物の見方は私たちと異なっているのですが、視覚について言えば普通の人々よりも正確に見えているのです。point 268 | 1
統合失調症とは？
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け（生活の障害）、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい（病識の障害）、という特徴を併せもっています。point 227 | 1
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多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました。以前は「精神分裂病」が正式の病名でしたが、「統合失調症」へと名称変更されました。point 151 | 1
錯覚クイズ
統合失調症のテストに使用される2つの錯視画はこれから紹介するようなものです。中央の大きな円の真ん中の円と同じコントラストを持つ円を、回りの小さい円から選んでみてください。
問題１
問題２
それでは問題１から、正解を発表します。
1番上の図が正解。患者でない人は3番目の図を選択しやすいようです。
次は問題２の正解を発表します。
1番上から時計回りに4番目が正解。患者でない人は7番目を選択しやすいようです。
錯視に騙されないのか？
統合失調症の人はこの錯視テストを楽々とそして素早く判断し“処理”できるようです。この研究では統合失調症患者15人のうち12人は、コントラストを正確に知覚することができました。患者でない人は、コントラストの高い背景によって惑わされ、実際より暗いグレーのものを選んでしまいがちのようです。
錯視画を見ている時、人間の脳は前頭頭頂制御ネットワークと、目から情報を受け取る脳の視覚野の結びつきが強くなります。それによって予想する視覚が優勢になるように脳が処理し、実際には見えている視覚情報を圧倒すると研究者は考えています。
一方、統合失調症患者の場合は、脳にこのような結びつきが発生しないので、結果的に、画を見えるままの事実として受け入れるようです。同様に、アルコールやドラッグを使用している人も、この錯視に引っかからないということです。脳が見ているものと、見えると予想されるものとがうまく結びつかない状態が、これらを使用している人の脳でも引き起こされている可能性があります。point 231 | 1
まとめ
多くの統合失調症者は他人の行動を誤って解釈し、被害妄想的な感情を持つことが多いのです、その理由は感情情報の「文脈判断」「状況判断」にあるといいます。多くの研究者が、今回の彼らの研究が統合失調症診断上に大きな意味を持つと考えているようです。