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映画「もののけ姫」の隠された設定内容がスゴイ!


宮崎駿監督率いるスタジオジブリの映画には細部に至るまでしっかりと設定が練り込まれ、画面上には出てこない部分の裏設定は映画公開後の後日談として公開されることがあります。「もののけ姫」はそのジブリ作品の中でもさらにメッセージ性が強く、人間と自然の関係を描きながらそれ以外のテーマも織り込まれています。
もののけ姫の舞台は室町時代、侍の村襲いからも見て取れるように争いが絶えない不幸がわかりやすく蔓延している時代です。

写真:youtube.com

◼︎もののけ姫に隠された若者へのメッセージ

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写真:bokurano-music.com

もののけ姫の劇中には自然と人間の対立という描写をしながら、社会的なメッセージが数多く込められています。その中でも主人公アシタカには、世の中の若者に対するメッセージが込められています。
アシタカは自身の関係のないところで生まれたタタリ神の呪いによって、村を追い出される状況に立たされてしまいます。村が世界の全てであったアシタカにとってその村を追い出されるということは、世界の崩壊といっても過言ではありません。それでも彼は村を出て腕に残された呪いを消す方法を探り、やがてタタラ場やもののけ姫・サンのために逞しく生きていきます。
どの時代においてもどの場所で生まれても、若者に付いて回るのは不条理な呪いのようなものです。それでも世の中はそれで終わりではなく、アシタカのように淡々と「生きる」ものであるというメッセージが込められています。
人の中で崇高の目的のために行動できるという人は非常に少なく、下手をすれば胡散臭くも感じられてしまいます。なので彼はそのような目的のために旅に出るわけではなく、呪いにかかってしまったから仕方がなく旅に出るという、観る人がより共感しやすい設定がアシタカには組み込まれています。そんなアシタカが生きていく姿を見せることで、若者にもよりそのメッセージが伝わりやすくなっています。point 569 | 1

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写真:mlive.com

◼︎もののけ姫に隠された差別に対するメッセージ

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写真:hiroki-suzuki.com

タタラ場の奥部でアシタカと頭領エボシが会話をするシーンでは、小屋の中に包帯で全身をくるんだ人々が登場します。「こわやこわや」のセリフと共に人々の印象に残っている人は多いことでしょう。鉄火砲の調整を担いエボシに具合の確認を頼むなど重要な役割に着いていると考えられる彼らですが、タタラ本場に出てくることはなく男衆や女衆と交わることもありません。
彼らは病気であると表現されていますが、歴史的に考えてみればハンセン病であったと考えることが最も辻褄が合う有力な説です。肌の表面に症状が表れるため包帯で隠し、その見た目から他の人とは離れた場所に集まっています。病が悪化して起き上がることすら困難になってしまった人も描かれています。
そもそもタタラ場というのは日本の歴史において女人禁制が基本となっていますが、ふいごであるタタラを踏むのは女衆です。エボシという人がルールや慣習に囚われない性格ということもあるでしょうが、タタラ場は人狩りや病によって行き場をなくした人々がしっかりと重要な役割を果たしているという表現がなされています。
もののけ姫ではこのように物語の重要な拠点となるタタラ場を利用して、世の中で生きていくことが難しくなった人々への現代に通ずる差別に対するメッセージが織り込まれています。point 561 | 1

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写真:girlstalk.komato.me

◼︎まとめ

もののけ姫には主に世の中のダークな部分でのメッセージがいたるところに秘められています。自然と人間の対立を描写しながらも宗教があり対立があり争いがあります。日本の歴史上における様々な要素をしっかり取り入れ根底に置きながらも、客観的にそれらの営みが描写されています。
ジブリ特融の細かな書きこみや描写に見入ってしまいがちですが、物語に付随されたテーマを意識しながら観てみると印象が顕著に深まるのがもののけ姫です。point 280 | 1

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