93歳、認知症のおじいさん
一日一日、全ての記憶を失いつつあるおじいさん。
そのおじいさんが最も恐れる事は、愛する妻を忘れてしまうこと。
英国BBCは、認知症にかかった当時93歳のおじいさんと、この世を去った妻のドキュメンタリー番組を放送し、視聴者らの目頭を熱くした。
英国ノッティンガム大学病院に入院中のおじいさん、レイ・ミッチェルさん(Ray Mitchell)は、認知症を患っている患者だ。
おじいさんの病室の枕もとには写真立てが二つが置かれている。
若い時代のおじいさんと、おじいさんのお嫁さんと一緒に撮った結婚写真だ。
認知症にかかったおじいさんは、周囲の人々はもちろん子供達まで、ほとんどを覚えていない。
昔の思い出も、かすかに残っている状態だ。
しかし、おじいさんがたった一度も忘れた事がない人がいる。
8年前に亡くなった彼の妻だ。
おじいさんは毎日朝、目を覚めると妻の写真にキスをしている。
夜には妻の写真を見ながら眠りに入る。
放送でおじいさんは、シワシワのその手で妻の写真を撫で、涙を流した。
そして、“私はいつも妻を愛していました。彼女と結婚する日は言うまでもなく幸せな感情を感じました”と口を開いた。
さらに、“妻が去った今、私は何をしながら何を考えながら生きていかなければならないか、わかりません”
“人生の価値を失ってしまったのです。 こんなにずっと生きていくのが合っているのでしょうか。”と尋ねた。
愛する人を亡くした痛みを涙で訴えたおじいさんの姿に、視聴者たちは、目頭が熱くなった。
しかし、認知症で誰も覚えていない状況なのに、愛する妻だけは絶対に忘れないおじいさんに、視聴者は静かな感動を感じた。
おじいさんの娘は“ママはパパが糖尿病で、足を失った時もそばで本当によく世話をしてくれました”と”その時その感謝の気持ちを全部返すことの前に、母が先に亡くなり、もっと悲しいようです”と話した。
さらに、“父は毎日母の写真を撫で、涙を流したりしている”、”夢を見ながらも、母親の名前を呼び、恋しさを表現してとても残念だ”と胸を痛めた。
ドキュメンタリーを見た視聴者達は“本当に胸打たれる愛の物語だ”、“おじいさん。どうか、おばあさんだけは忘れず記憶してほしい”、“健康に長生きしてください” など、おじいさんに対する応援の声が相次いだ。
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