政府は電気代の負担軽減策などを盛り込んだ総合経済対策を発表しました。電気、ガスなど標準的な家庭で年間4万5千円の負担軽減となります。
しかしその裏では、増税・保険料増にむける動きも加速しているようで… 「消費税が未来永劫10%のままでは、日本の財政はもたない」 という意見が政府税制調査会で相次いだのでした。
※政府税制調査会…内閣総理大臣の諮問に応じて、税の制度に関して調査・審議する内閣府の附属機関。
今後の税制改革に大きな影響を与える組織なのだが、 消費税の増税だけでなく、退職金や配偶者控除の廃止などの“実質増税”の全容が明らかになってきたのです。
「岸田さんは財務省寄りの人間。財務省としても岸田さんが首相のうちに、なにがなんでも増税の道筋を付けておきたいともくろんでいます。なかでも、増税の一丁目一番地は消費税。自民党と癒着した業界の反発を受ける法人税増税などに比べ、消費税の増税は庶民さえ犠牲にすればよく、かつ大きな税収を見込めるんです」 と経済評論家の古賀茂明さんは話します。
「消費増税の最速のスケジュールは、今年から議論を始めて、2023年末の税制改革大綱でまとめ、2024年1月から始まる国会で可決しその年の10月ごろには実施というもの。ただし、岸田首相が途中で交代し、増税に後ろ向きな安倍派や菅派から首相が出ることになれば、トントン拍子には進みませんが……」と続けました。
もしも、増税の話が進んだ場合、消費税率は何%まで上がるのでしょうか?
国際通貨基金が2019年に出した報告書には、「日本は2030年までに消費税率15%にする必要がある」と明記されているとのこと。。。
「本気で財政を健全化させるなら、消費税率は20~25%になってしまいます。ただ、賃金が上がっていない現状では難しいので、IMFの報告書に便乗し『前倒しして15%にします』というのは、十分ありえる数字でしょう」 と語るのは同志社大学大学院ビジネス研究科教授でエコノミストの浜矩子さん。
浜さんは、 「結局、進むのは抵抗できない低所得者層にばかり負担が重くなる税制改革。岸田首相は当初、富裕層に課税する金融所得課税を実施すると言っていたのに、結局、反発が大きく引っ込めてしまった。本来は、そういうところから課税すべきなのです」と話します。
そのほかに、早くに導入されそうなのが“炭素税”の新設。
古賀さんは「Co2排出量に応じて企業に課税する炭素税は“脱炭素社会に向けて”という大義名分があるので導入しやすいでしょう。そのうえ、’26年からEU諸国に輸出する際、国境炭素税が課せられるというのも口実となります。いきなり導入すると、鉄鋼大手などからの反発が予想されるため、’24年度くらいから低い税率で段階的に開始されるのでは」と話します。
企業が担う炭素税の負担ですが、価格転嫁されることで、消費者に負担がいく可能性は高そうです。
そして、退職金にまでも魔の手が伸びているようで、、、。 現在、勤続年数が長ければ長いほど退職金にかかる税の控除額が増える仕組みとなっていますが、”勤続年数にかかわらず控除を一律に”という案が税制調査会で議論されています。
「ハードルは高いですが、雇用の流動性を高めるという政府の方針もあり、最短で再来年春の実施もありえます」と古賀さんは話します。
また、第二の税とも呼ばれる保険料の値上げも。 先月18日、政府は国民年金の保険料納付期間を、5年延長して45年とする方向で議論を始めていると報じられました。そして更に、65歳以上の高齢者が、毎月支払う介護保険料の引き上げの議論までもが進んでいるというのです。
浜さんは「結局、進むのは抵抗できない低所得者層にばかり負担が重くなる税制改革。岸田首相は当初、富裕層に課税する金融所得課税を実施すると言っていたのに、結局、反発が大きく引っ込めてしまった。本来は、そういうところから課税すべきなのです」と話します。
なぜ、岸田首相は決断できないのかについて 「岸田首相は安倍派の顔色ばかり見ながら、失敗したアベノミクスを引きずり続けている。財政は悪化するし、成長もしないので、こうやって庶民に増税するしかなくなっているんです」と古賀さんは話します。
このままでは、国民が重税に押しつぶされてしまう。
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