田中泯は独特のダンスを持ち味として世界的な評価を受けている日本人ダンサーです。舞踊家として活躍している彼ですが、最近では俳優業にも力を入れており、テ
レビドラマでは「ハゲタカ」や「龍馬伝」などの有名作品にも出演しています。
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・田中泯とは
そもそも彼がダンスに触れるようになったきっかけはクラシックバレエでした。その後はアメリカンモダンダンスを学び、1966年にはモダンダンサーとして活躍するようになりました。ダンスに触れてきた彼だからこそ従来のダンスというものに思うことがあり、それに反発を示して独自のダンスを開発していくようになりました。個性を表現する体毛をすべて剃り落し、男性器には包帯を巻いて体を土色に着色するという独特なスタイルで劇場や美術展覧会場、あるいは日常的な場所で自身のダンスを披露しています。
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・ダンスを体現
1985年から山村へ移り住み、農業を礎とした日常生活をおくっています。ダンスというものへの強い思いと、人間がなぜダンスを必要とするようになったのかという命題は彼の独自のダンスと共にあります。ただ体を動かすことがダンスではなく、そこにどんな表現があるのか、また対峙する現代や社会というものと切り離すことができないダンスを体現していると言っても過言ではないのです。
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・すべてはダンスに通ず
田中泯は1978年に身体気象研究所を創設し、1981年には舞踊団である「舞塾」を結成しています。更には1985年に身体気象農場を開設し、2000年には共同生活を共にする若者で組織された団体を設立しました。このようにダンスとはあまり関係のないように思われることですが、実は彼なりに必要不可欠なものだったのです。様々なポイントからダンスというものと向き合い、作り上げていくことで従来のダンスに反発しながらも自身の信じる道を人々に示してきました。その功績が形となってあらわれることも多く、1979年には舞踊批判家協会賞を受賞、1982年には西独・ミュンヘン演劇祭最優秀パフォーマンス賞を受賞するなどグローバルな活躍が見られます。日本はもちろんのこと海外で行われている様々なフェスティバルに出演しオペラにおいては出演するだけではなく振付も担当しています。
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・映画やドラマにも出演
体を動かす事だけが表現ではありません。彼は自分の存在を映像としても主張してきました。もっとも最初に出演したのは2002年の「たそがれ清兵衛」です。その後も様々な役柄で映画出演を果たしています。そしてドラマは2007年の「ハゲタカ」から始まり、2017年の現在にも俳優として活躍しています。
彼の持つオーラはとても強いものです。人が決めたレールを歩かず自分の信じた道を歩いてきた彼だからこそ持つ独特のオーラは映像の世界においてキーマンになることも、たまにしか出ない脇役にもなることができます。だからこそダンスだけではなく演者としての活躍も幅広いのです。
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人々が築き上げてきた従来のスタイルに反発し、新たなスタイルを築き上げて人々に認めてもらうというのはそう簡単なことではありません。それは人々が信じてきた形というものが固定化されているからです。しかし自分が信じてきたものを主張し続け形として示すことで、日本だけではなく世界中の人々からも認めてもらえるようになるというのを彼は自身の人生で示したのです。このような生き方は誰でもできるわけではありません。だからこそ人々は彼に憧れと賞賛を示し、現在でも様々な分野において活躍することができる人として支持されているのです。「私は名づけようもないダンスそのものでありたいのです」と彼は自分の生き方を語っています。