2001年に放送されたドラマ「ヒーロー」は、関東地区で初回から最終回まですべての話の視聴率が30パーセントを超えて、平均視聴率が34.
3パーセントという驚異的な視聴率を獲得しました。日本のドラマにおける金字塔として、今なお輝き続けており、この作品の熱狂的なファンも多いです。しかし、なぜ「ヒーロー」はこれだけの視聴率を叩き出し人気になったのか、その理由が気になります。
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まず、「ヒーロー」が大ヒットした理由の一つとして、主演が国民的人気アイドルの木村拓哉だったということがあります。彼が主演したドラマは1996年に「ロングバケーション」で平均視聴率が29.
6パーセント、最高視聴率が36.
7パーセントを記録しました。さらに、1997年に「ラブジェネレーション」で平均視聴率30. 8パーセント、最高視聴率32. 5パーセントを獲得します。そして、2000年の「ビューティフルライフ」では平均視聴率32.3パーセント、最高視聴率41.
また、ドラマのスタッフの手腕も大きなものといえます。例えば、基本的に「ヒーロー」は登場人物を正面から撮ったアップを多用したり、リズミカルな音楽での盛り上げ方が斬新で新鮮なので、視聴者を飽きさせることがありません。
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そして、ドラマにおける登場人物が多いことが特徴です。また、脇役でも印象的なセリフや登場シーンが与えられているのでそれぞれのキャラクターが立っており、見ていて退屈することがありません。
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また、フジテレビのドラマのフォーマットは90年代からこういう図式が多く、見る人を惹きつけていきます。そのため、この「ヒーロー」は見始めると飽きることなく面白く作られているので、途中で見切るという選択肢はほとんど視聴者にありませんでした。
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また、当時は月9といえば恋愛ドラマという印象が強かった中で、検察官という職業が物語の中心となっていたのも珍しかったです。そして、ただひたすら単調に物語を描くというわけではなく、個性的な役柄やしっかりとした脚本により深みのある物語となっていたのです。また、当初のドラマのコンセプトは木村拓哉演じる「久利生 公平」が集団のなかにいる群像劇という企画でした。そのため、主演だけが目立っているプロモーション的なドラマにならなかったのも、このドラマにいい影響を与えています。
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また、このドラマでは例えば、犯人がクロとはっきりと判断できなければ起訴はしないといった、検察官という仕事をきちんと理解した上で作っている点も人気を得た理由のひとつだと言えます。無理に脚本を捻じ曲げて、ご都合主義で解決するということはしませんでした。そのため、物語を進めるうえで、違和感なくドラマを進行させることが出来たのです。また「ヒーロー」では、検察官というものを軸にしているものの、木村拓哉演じる「久利生公平」と松たか子演じる「雨宮舞子」の関係が大切な見所になっています。近すぎず、離れすぎず、適度な距離感ですが思わずその関係が気になってしまいます。決して、恋愛ドラマではないのですが、この2人の関係の行方が気になった視聴者も少なくありません。
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このようにドラマの構成がしっかりしていると、毎週続けても面白さが目減りしません。物語の根底にあるものがブレないため、話がどういう方向に広がっても作品として一定のクオリティを保つことができます。そのため、「ヒーロー」は高視聴率を維持できたのです。