9日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、先月29日から公演を中止していた宝塚歌劇が 兵庫・宝塚大劇場での公演を10日ぶりに再開しました。この日は星組の千秋楽公演でした。各界が無観客興行を強いられる中、「ありがたい」「時期尚早」と賛否は分かれましたが、ファンはスターの入り待ち・出待ちを自粛し、劇団の呼びかけに応じて 全員マスクを着用して観劇しました。
「きょう公演ができたことを一生忘れません」と 星組の新トップスター・礼真琴はあいさつ。正しいうがいの仕方もファンに伝授したという。
最大限の注意を払っての再始動⁉
タカラヅカが、主要エンタメ界の先陣を切り、観客を劇場に迎え入れました。開場時は劇場入り口手前で、スタッフが来場者の手のひらに消毒液を噴射。37・5度以上の発熱を感知するため、赤外線サーモグラフィーも設置されました。
検温で引っかかったファンの目撃談もあるなど 物々しい雰囲気でしたが、2550席のうち9割が埋まったという。ショーでは出演者が客席に降りて歌い踊る演出はカットされたが、熱心なファンが星組生らの躍動を見届けました。
劇団が感染予防の取り組みに掲げた「換気の強化」には「正直、よく分からなかった」という声も上がったが、「係員も多く、いつもより慎重な感じだった」(女性ファン)。劇団としては最大限の注意を払っての再始動となりました。
ここから感染者を出したらアカン⁉
劇団ホームページにも明確な理由が記載されていない、フライング気味の再開決行でしたが…。
しかし、この日は 礼真琴&舞空瞳の星組新トップ本拠地お披露目の千秋楽で1999年入団の専科スター・華形ひかるの退団セレモニーもありました。ともに宝塚では特別な儀式でした。
4日後の13日には 花組・柚香光(ゆずか・れい)の新トップ本拠地お披露目「はいからさんが通る」も開幕する予定。劇団は苦渋の判断で予定通りの再開を決めたとみられます。
ファンによると礼はカーテンコールで、マスクがずらりと並ぶ光景に驚きつつ「お客様あってこその私たち」と感謝。
「うがい、手洗いをしっかりと。私たちもやります!」と呼びかけ、「うがいは一度、ゆすいでからガラガラやるといいです」と指南しました。また、華形がセレモニーで21年在団した宝塚への思いを語ると、すすり泣きが漏れたという。
観劇した尼崎市在住の30代女性は、同行予定だった友人が家族に反対されて来られなかったという。2000人の大人数が一堂に会するため「批判されるのは仕方ない」としながらも
「うれしいと言ったら語弊がありますが、予定通りやっていただいてありがたい」と笑顔。一方、宝塚市在住の女性2人組は
「ここから感染者を出したらアカン!という思いがあふれて、トイレでも、手を洗う列の方が長かった」と、ファン側の意識向上も強調しました。10日には東京宝塚劇場で雪組公演が再開されます。