ドラマ「運命の人」は、2012年にTBS日曜劇場で放送された社会派ドラマです。現代においても沖縄の米軍基地による問題は解決されず、政治的に利用されていると言われている沖縄ですが、かつて沖縄はアメリカに接収されていました。それを日本に取り返したのが1971年沖縄返還協定です。その協定が結ばれる裏側で、密約が行われていたのではないかという背景を描いたのが山崎豊子作「運命の人」です。これを忠実に再現したのがドラマ「運命の人」で、主演が本木雅弘、他の主要メンバーに北大路欣也、松たか子、真木よう子、長谷川博己、大森南朋など豪華な顔ぶれの俳優を揃えています。
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主役である新聞記者の弓成亮太は、沖縄返還が間近になっているなか、取材を進める中で日本とアメリカの間で公にされていない密約があることに気づきます。その証拠となる文書を、外務省事務次官である三木昭子(真木よう子)から入手します。そこにはきれいごとで済まされていたアメリカ軍の軍用基地返還に関する事の真実がいろいろと書かれており、弓成はその書類をもとに、新聞に真実の沖縄返還に関する解説記事を書き、世論にこれに対する反対運動が起きるよう働きかけることを願うのです。
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機密文書の出所を守るために、文書そのものの信ぴょう性を世論に訴えきれなかった弓成でしたが、そうくしているうちに、その機密文書の出所が政府側に知られてしまうこととなります。窮地に立たされる弓成ですが、つらい事情聴取にも合っているなか、他の新聞社などが手を結んで報道の自由を訴えるキャンペーンが始まります。ところが、弓成と三木が不倫関係にあったことから弓成は新聞社からも手のひらを返され、さらに愛人であった三木昭子からの反逆を受けることとなるのです。
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弓成の妻、由里子の支えもあり、なんとか機密文書の内容については真実であるという勝訴を勝ち取ったかのように見えた弓成でしたが、裁判所を降りてからの昭子の反撃は緩まず、週刊誌への赤裸々な告白という形に代わります。完全に世論を敵に回した弓成は、控訴審でまさかの逆転有罪となります。
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すべてから裏切られ、過去から逃げるように沖縄の友人宅へ身を潜めて生活する弓成、表面上は平和であるかのようにうつる沖縄でしたが、今でも米軍による婦女暴行事件や横柄な交通マナーは存在し続けていました。しかし地元新聞記者からの声掛けをきっかけに、弓成の心に再び沖縄返還問題への火が灯ったのです。
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原作はフィクションとされており、その機密文書の存在はいまだ日本政府は認めてはいません。しかし国家権力に対するジャーナリストとしての本来の働きが、如実に表現された小説であり、実話ではないかと言われているのです。