ある日、西日本新聞“あなたの特命取材班”に佐賀県神埼市県立神埼高校の保護者から「娘が学校行事の一環で、下品な映像を半ば強制的に見せられたと相談してきた」との投稿が寄せられました。
8月に校舎を移転する同校は20日、終業式の後に現校舎との「お別れ会」を体育館で開催しました。吹奏楽部の演奏や、全校生徒の記念撮影などがあり、その中のサプライズ企画として、卒業生の江頭2:50さんが登場、ビデオメッセージを寄せました。
動画は全部で1分54秒あったそうで、前半の約50秒は、江頭さんが「校舎が取り壊しになるみたいだけど、悲しくなったら先輩のオレを見ろ! そして笑え!」と生徒たちにエールを送る内容だったのですが、後半の約1分間は、ブリーフ姿の江頭さんが下着の両端を引っ張り上げて肩に掛ける芸“ブリーフ重量挙げ”を披露するも、布が破れて下半身が露出したかのように見えてしまう場面があり、局部はテロップで完全に隠していました。point 270 | 1
同校によると、事前に動画を確認した上、「お別れ会の趣旨上、前半のメッセージ部分だけで十分」「後半は不快に思う生徒がいる可能性がある」として、お別れ会では前半だけを放映し、後半は各クラス担任の判断でHR時に公開することになりましたが、9クラスのうち、8クラスが動画の全編を見たといいます。
学校内のセクハラ問題や教職員教育に詳しい藍野大の吉田卓司准教授は「本人の同意がない中で不快な動画を見せるのは、性別を問わずセクハラに当たる」「放課後に見たい人が別教室で見るなど、一定の線引きが必要だった」と学校側の配慮不足として、セクハラの可能性を指摘しました。
西日本新聞の取材に対し原口哲哉校長は「江頭さんの芸は広く知られており、動画の後半を見せないよう規制するまでは考えが及ばなかった。結果的に不快な思いをした生徒がいたならば、申し訳ない」と話しました。