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◼︎STAP細胞の発見?
一時期、マスメディアを大いに騒がせた小保方なる人物と言えば、STAP細胞を見つけたと大々的に公表した、独立行政法人理化学研究所の研究員だった小保方晴子氏のことだと、容易に連想できます。
STAP細胞とは、刺激惹起性多能性獲得細胞で、動物の分化した細胞に外的刺激を与えることにより、再び分化させることができるとする細胞のことです。
2014年に小保方氏を中心とするグループがこのSTAP細胞の発見に成功したとして、大々的に話題になりました。
◼︎論文の内容に不正が?
その少し前に、京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞の開発が成功し、それによってノーベル賞受賞に至ったことに対し、小保方氏は猛烈な対抗心を抱いていたと言います。
イギリスの雑誌、ネイチャーに投稿論文が掲載されるなど、理系を目指す女子にとって「リケジョの星」とまで言われましたが、研究結果を示すノートに納得のいかない点が多数見つかったり、論文に不正があるという指摘を受けるなどして、徐々に世間の目は厳しくなっていきました。
説明のために記者会見を開いたものの、「STAP細胞は200回成功している」と繰り返すばかりで、具体的な根拠は何も示そうとしない姿勢に、記者からも厳しい質問が飛び交いました。
第三者による協力があったとしながらも、その人に迷惑を掛ける恐れがあるので名前は言えない、どのような研究をしていたかも言いたくないという小保方氏の回答には、その場にいた記者のみならず、テレビを見ていた国民の多くが、納得いかないものを感じたのは言うまでもありません。
所属していた理化学研究所でも、この事態を重く受け止め、早稲田大学工学博士の学位は取り消され、自らも理化学研究所を退社しました。
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2016年、突如「あの日」と題した、STAP細胞問題について記した書籍の出版によって、再び注目を集めることになりました。
共同研究者が自殺をしたこともあって、当時、その話題で持ちきりでしたが、その中でもっとも注目を集めた渦中の人であったために、その手記に何が書かれているのかに、多くの関心が集まったのも無理はありません。
ただ、STAP細胞の研究は共同研究であったにも関わらず、上司ともいうべき教授や博士は一切メディアに登場せず、常に彼女だけがメディアの前で批判を一身に浴びていたことには、同情する声も聞かれました。
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◼︎おしゃれな理系女子?
特に、おしゃれな理系女子というイメージを作り上げた功績者でもある彼女に対し、同じ理系を目指す女子学生からは擁護の声が多かったと言われています。
手記を出版したことにより、一連の騒動の中でどのような気持ちで過ごしていたのかや、理研という組織とメディアによる取材や報道についての詳しい内容が記載されていることから、徐々に真実がわかってきました。
とはいえ、手記という一方的な情報の提供だけに、100%信じるわけにもいきません。
しかしながら、当事者の声と、体験した者だけがわかる状況が記されているという意味で、この手記はマスコミはもちろん、日本全国を騒がせたSTAP細胞問題を紐解くには、ぜひ読んでみたい一冊となったのは間違いないといえます。
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また、本人が開設したのかどうか定かではないホームページも登場し、世間の関心がいかに高かったかを今更ながらに感じさせます。
ホームページにはSTAP細胞の作成手順や、理研での検証実験の内容を掲載しており、本人でなければ知りようがない情報が掲載されていることから、手記に続く情報発信に打って出たのかもしれません。
今もなお、科学を研究するということに対して大きな情熱を持っていると周りに話しているともいわれており、理系女子の成功者がまだまだ少ないことを考えると、今度こそは世紀の大発見で復活してほしいものです。