道を歩いているとよく見かける「閉店セール開催中」の旗やポスター。閉店に伴う在庫処分や売りつくしを理由に、通常よりも大幅に値下げされた値札を見かけると、購買欲をかき立てられてしまいます。しかし、翌日また翌日とその店の前を通るといつまでも終わらない「閉店セール」。いつまでやってるの?と思ったことはありませんか。
閉店商法
実はこれ、閉店と称してセールをしているにも関わらず、実際には閉店しないもので、「閉店商法」と呼ばれるものなのです。「閉店セール」を行うと、何もセールを行っていない時に比べて商品が売れる確率が上がります。初めて来た人や、外国人観光客がそれらを見たら、「めっちゃお得じゃん!」と思って買ってしまうかもしれません。そして、閉店商法にも色々なケースがあります。
毎日「閉店」している
この手によくあるカラクリは、「閉店=永遠に店を閉める」ではなく、「閉店=今日は店を閉める」という意味での閉店セールです。スーパーのお惣菜が同じ理屈です。営業終了時刻が近づくと閉店セールとして値引きするような感じです。
本当は店仕舞いする「閉店セール」
経営状態が悪化し、店を続けられなくなったので本当に閉店するつもりでセールを開催したところ、「閉店セールをしたら意外と品物が売れたんで、セールの期間を伸ばし伸ばししていたらこんなに経ってしまいました」という事です。ある店の場合は。閉店セールが当たり前の状態になってしまったので、下ろすに下ろせない、というのが店主の正直な心境のようです。
辞める辞める詐〇で有名に
靴屋のオットーという店では、当時竹部自身の口癖となっていた「もうあかん やめます!」という垂れ幕を店のテント上部に掲げると、大阪では「おもろい店」として一躍話題となり、「大阪名物」や「名物靴店」などとしてメディアなどからも評されるほどになりました。その後も、「いや、やっぱりやります! どっちやねんセール」「格差社会を是正せよ。身長の格差は当店で。人は見た目が9割だから!」などの垂れ幕を作成し店先に掲げることで、地元では「閉店商法」と言われ愛されながら、2016年2月まで20年以上も営業を続けました。
法的に問題は?
ずっと閉店しないのに閉店しますとうたいセールをすることは違法では?と思いそうですが、常時閉店セールと大々的に宣伝して、客の読み込みを図ること自体は、基本的には違法ではないと考えられます。問題は別なところにあります。
誇大広告などを規制する景品表示法は、第4条1項1号で商品やサービスの品質等について、2号で商品等の価格について、実際の販売価格が通常時や同業者等の価格と比較して、ほとんど差がないのに、大幅に値引きされているような表示を行なう場合は、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当します。不当表示は、消費者に誤解を与え、購入の判断を誤らせるだけでなく、結果として、競業他社との公正な自由競争をも阻害し、社会全体に対しても不利益をもたらすためです。つまり、「通常価格5000円で半額の2500円!」としているなら、ちゃんと以前に5000円で売っていた実績がないとダメという事です。
限りなくグレーではあるものの、実態は野放しということのようです。厳密に言えば、消費者庁は表示内容の変更や再発防止の措置命令を出すことができるのですが、実際に行政処分は出たことがないそうです。
買い物を楽しむ一つ
閉店セール自体に問題はないようですが、実際それに伴う違った問題が出ているようですね。しかし、消費者側としては閉店セールと称して安く買える機会があるなら有難いことこの上ないですよね。それに実際にその店が閉店してしまったら、少し残念な気もします。私たち消費者が本当の閉店かどうか見極めるのは少し難しいようですね。
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