2014年の7月、日本中を震撼させる事件が長崎県佐世保市で起こりました。16歳の女子高生が、同級生で友人の女子高生を殺して解剖しようとした、というとてもショッキングな内容で、世間の注目を集めたのです。この佐世保事件、背景には加害者の少女の複雑な家庭環境と心の闇があったようです。経緯やその周辺の出来事と共に、この佐世保事件を振り返ってみましょう。加害少女が育った家庭は地元の名士一家であり、父は有名な大企業の顧問弁護士。母は市の教育委員を務めるなど絵に描いたようなエリート一家でした。
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ところが内実は必ずしも愛情あふれる家庭ではなく、父は世間体ばかりを気にして加害少女の学校の成績や美術・スポーツでの入賞を常に要求し、母のしつけも厳しいものだったそうです。成績も優秀なうえ父・兄・加害少女の三人揃って長崎県のスケート代表として国体に出場しており、これだけ見ると理想的な文武両道を行っています。
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しかし実はこれにはウラがあり、競技者の少ない長崎県でスケートの代表になれるよう県のスケート連盟会長をしていた母が手配し、「(ライバルがいないため)出場すれば国体進出」という状態であったそうです。当然スケートの実力は低いため国体では一回戦で惨敗、こういった虚飾にまみれた父のやり方に加害少女は次第に反発を強めていきます。すでに小学校の頃から反社会的な傾向は出ており、給食に異物を混入するなどして両親にもみ消してもらうなどの異常行動がありました。point 286 | 1
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犯行の決定打となったのは母の病と、その死後すぐに若い女性との再婚を決めた父への反発であったようです。深夜に寝ている父を金属バットで殴るなどして実家から出され、一人暮らしをしていた加害少女は高校にも出席することなく欝々とし、ついには遊びに来た同級生少女を殺害し、解剖するという行動に出てしまいます。
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この佐世保事件では加害少女が未成年であることもあり実名の報道はありませんでしたが、地元では有名人であり、国体などに出場した画像がネット上にあることもあって氏名・顔写真があっという間に拡散されてしまいました。
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娘の犯行、および親としての自分の行動が引き金だとして世間から猛烈な批判にさらされた父もこの事件の2か月後に自殺を選んでおり、なんとも陰惨な雰囲気の残る事件となっています。加害少女は精神的な治療を受けてはいますが、いまだに殺人欲求を口にすることもあり治療は難航しています。