毎年4月に新宿御苑で開かれる総理大臣主催の「桜を見る会」が話題になっているーー。
安倍晋三首相の事務所が後援会の人々をツアーで招待していたことが発覚し、
公職選挙法違反の疑いなどが国会で追及されている今年の「桜を見る会」に関連して、
菅義偉官房長官は13日の記者会見で、首相主催の「桜を見る会」について来年の開催を中止すると表明しました。
NHKニュース、共同通信などが速報で伝えております。
「桜を見る会」とは?
そもそも総理大臣主催の「桜を見る会」とは何か?ということから説明します。
「桜を見る会」 とは、日本の内閣総理大臣が主催する公的行事であり、
吉田茂首相の時代の1952年に始まったセレモニー。
内閣の公式の行事として、文化、芸上、スポーツ、政界などの各界で功績や功労があった人を招き、
総理大臣が慰労しながら懇談するというのが本来の目的です。
1995年の阪神大震災時と2011年の東日本大震災時、
そして北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射すると宣言した2012年には中止されたため、今年で64回目となります。
例年ヤエザクラが見頃となる4月中旬頃に新宿御苑で開催されているものです。
「桜を見る会」が問題視されている理由は?
例年4月中旬ごろに新宿御苑で開催されている「桜を見る会」が問題視されている理由について説明します。
きっかけは、共産党の田村智子参議院議員が11月8日の参議院予算委員会で行った質問にあります。
田村議員は今年4月13日に開かれた「桜を見る会」で、
安倍晋三首相や閣僚らが多数の地元後援会員を招待していたことを追及しました。
「安倍総理の下で参加者数、支出額が年々増えています。2013年以前は資料がないということなので、2014年を見ると参加者1万3700人、支出額3005万円。予算の1.7倍です。ここから伸び続けて、今年は参加者1万8200人、支出額5520万円。予算の3倍を超えました。驚くのは予算の要求額ですね。先の国会で『予算とかけ離れている』と批判されたからなのか(たとえば2019年5月21日の衆議院財政金融委員会で共産党の宮本徹衆議院議員が質問している)、今年度の支出額を超えて、5730万円を要求しているわけなんです。総理、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたんですか」
この問いに対して、首相は「招待者の取りまとめには関与していない」と釈明していました。
田村議員の質問の通り、2014年時と比べて2019年の「桜を見る会」では、
参加者数が33%、支出額に至っては84%も増えており、
支出の内訳を見ると、会場設営等が929万円から2167万円と233%、
飲食物提供費用は1432万円から2262万円と58%も増加していることが明らかになりました。
公的行事であるはずの会を組み込んだ、私的な後援会の旅行ツアーなど「私物化」の物的証拠が続々と表面化していくこととなり、問題は大きくなっていったのです。
緩すぎる招待客の選考基準
これらの指摘を受け、菅官房長官は記者会見で、
「桜を見る会は、今般、さまざまな意見があることを踏まえ、具体的な手続きを確認をしたところ、内閣官房と内閣府から各省庁に推薦依頼を行ったうえで、提出された推薦者の取りまとめを行っている」と説明。
また、「こうした手続きは、長年の慣行で行ってきているものだが、さまざまな意見があることを踏まえ、政府として招待基準の明確化や、招待プロセスの透明化を検討したい。予算や招待人数も含めて、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行うこととし、来年度の桜を見る会は中止をすることにした」
と述べました。
身分確認、テロ対策などの警備は?
12日に開かれた野党ヒアリングでも、参加者名簿は明らかにされることはなかったそうで、
ひとつは個人情報の保護のためだが、もうひとつは案内送付については保存期間が「1年未満」とされているため、
「すでに破棄した」とのことでした。
しかし、この問題の本質は、選考基準そのものにあるといえるでしょう。
参加者が増加すれば、テロ対策や混雑緩和のための経費、および飲食代も嵩んできます。
毎年同じ予算を計上しているのなら、参加者を減らすように努力すべきでしょう。
実際に2018年に送付された招待状の数は1万5900通だったが、2019年は1万5400通に減らされている。
ところが参加者総数は700名も増加しており、配偶者を同伴した参加者が増加したためだが、
果たしてきちんと身分確認は行われたのでしょうか。
安倍首相の後援会には新宿御苑へ入園の際に特別な扱いがあったと聞くが、
それでテロ対策など警備は大丈夫なのか…。
桜を見る人のいない「桜を見る会」
「一番の問題は“桜を見る会”なのに、誰も桜を見ていないことです」
国民民主党の玉木雄一郎代表は12日午後、ため息をついてこう述べました。
四季の移ろいを惜しみつつ愉しみ、そうした豊かな自然の下で様々な分野の才能が交流し、親交を温める。
本来の桜を見る会や園遊会などは、そうしたことを目的としたはずであるのにもかかわらず、
公的セレモニーの名前の下でオトモダチを呼んで飲ませて食わせて有名人と写真を撮らせる単なる“お遊び”では、
文化を知る国民なら納得できるはずがありません。
野党「徹底的にやらせて頂く」
安倍総理大臣は、菅官房長官の会見後、
「来年の『桜を見る会』についてはすでに官房長官が説明した通り、私の判断で中止することにした」
としていますが、野党側は今年、安倍総理の地元の後援会関係者約850人が招待されていた疑いが強いと主張していて、
衆議院と参議院で予算委員会の集中審議を求めていく構えを見せています。
今年の「桜を見る会」をめぐっては、安倍首相の地元後援会関係者が多数参加したことを受け、
招待基準が不透明だと野党が批判を強めているのです。
立憲民主党の安住淳国会対策委員長は13日、
「首相が国会に来て我々の疑問に答えない限り、この話はエンドレスに続く。ふたをしたと思ったら大間違いだ」
と記者団に語りました。
さらに、共産党の小池書記局長は、桜を見る会前日に首相の後援会が開いた会合が政治資金収支報告書に記載がないと指摘し、
「法に触れるようなことがあれば首相を辞めていただくしかない」と述べています。
また、立憲民主党の蓮舫参院議員(51)は14日に自身のツイッターを更新し、
安倍総理大臣主催の「桜を見る会」について政府が来年の開催の中止を決めたことへの見解を示し、
「おはようございます。あなた達も桜の会を行っていた、とか。出席してたでしょ、とか。つまらない反応です」とした上で、
「安倍総理の桜を見る会の問題は総理の職責、税金を使って安倍晋三衆議院議員の政治活動にしていた疑惑に尽きます。説明なきまま、中止で幕を閉じようとする政府の姿勢も姑息すぎます」とつづっていました。
ネットの反応
「私物化」などとの指摘を受けている安倍総理大臣主催の「桜を見る会」について、
政府が来年の開催の中止を決めたことを受け、野党は国会でさらに追及する構えだといいます。
これらの問題を受け、ネット上からはこんな意見が飛び交っています。
「これはこれでダメだけど、台風とかやらないといけない事ある。それにもし安倍政権の足元をすくいたいなら大学入試制度とか、山中教授のIPS細胞研究への資金打ち切り問題とかで責めるなら野党を応援してあげる。でもこれは野党だって50歩100歩だろう。スキャンダルなんかではなく政策で責めないとダメなんだよ。無能な野党とマスコミ。」
「相変わらずズレてる。
そこも知りたい人もいますが台風の復興、赤字1000億だす会社への国の対応や保育園便乗値上げへの対処など他にも重要度が高い問題は沢山ありますが?」
「国会は司法機関ではありません。
テレビの前で政権をさらしたいという野党の考えなのでしょうが。
法令に違反しているのなら、司直に委ねれば良いのではないでしょうか?
国会は台風・豪雨対策、貿易問題、北朝鮮問題、経済対策等について審議をしてもらいたい。」
「国民からの当然の疑問を「つまらない」と切って捨てる。
それで国民から支持が得られるとでも?」
「民主党政権時代は「桜を見る会」はなかったのですか?確か鳩山政権時代にはあったと思うのですが?その時の参加者は問題なかったのでしょうね?」
まとめ
共産党の田村智子参院議員が参院予算委員会で詳細に指摘し、問題が拡大。
首相は「主催者としてのあいさつや招待者の接遇は行うが、招待客のとりまとめなどには関与していない」と否定していましたが、
13日の菅官房長官の記者会見後、「私の判断で中止することとしました」と述べたが、混乱への謝罪はありませんでした。
1952年(昭27)から毎年続いてきた歴史ある会を中止に追い込んだ首相の責任は重いことでしょうね。