「なるほど!ザ・ワールド」(フジテレビ系)といえば 、愛川欽也(故人)と楠田枝里子の名司会コンビが懐かしい 言わずと知れた人気紀行クイズ番組。1981年から96年までの足掛け16年も続きました。その レギュラーリポーターのひとりだった迫文代さんは、今 どうしているのでしょうか…?
銀座のカレーに惚れ半年修行後、鎌倉で開店⁉
神奈川県鎌倉市のカレー専門店「コペペ」に電話すると、おなじみの声が聞こえてきました。迫さん、今は“ママさん”なのです。JR鎌倉駅を降り 歩くこと5分。店舗はオレンジ色の琉球瓦を葺いた南欧風の自宅2階にありました。
「オープンが2010年4月29日だから、ちょうど10周年になるんです」
案内されたのは奥のテーブル席。床暖房完備で 靴を脱いで上がるため、友人宅へ訪れたかのような雰囲気。
「テレビ朝日に入社する前から漠然と、いずれカレー屋さんをって思ってたんです。で、07年に『FNNスーパーニュース』(フジテレビ系)のグルメ取材で訪れた銀座のバーのカレーライスがあまりにもおいしくてね。09年に離婚したことをきっかけに、半年ほど そこで修業させていただき、開店にこぎ着けました 」
店内には海外取材の際に入手した各国の民芸品や木像、無造作にロケ時のアルバムなども置かれています。
「ビーフカレー他、カレーは全部で5種類。小笠原産の無農薬栽培レモン100%ジュース(500円)も 好評です」
人気の「焼きチーズカレー」(写真=鎌倉野菜のサラダ付き1000円)はバーナーで焦がしたチーズがのっており、混ぜ混ぜすると奥行きある風味を楽しめます。特製ルーは、豚骨・鶏ガラ・香味野菜などを6時間煮込んだスープに数種類のスパイスを合わせて作り、さらに少し煮て一晩寝かせているという。ガツンとした辛さではなく、後でピリリと効いてきます。
「鎌倉は 飲食店の激戦区。それで、営業前に駅のそばでチラシを配って、可能なら その場で予約を取っちゃう。長年のリポーター生活で培った度胸と愛嬌ね。フフフ」
部族の王様からプロポーズをされたことも⁉
迫さんは長崎県佐世保市に6歳上の姉、3歳上の兄を持つ 末っ子として1959年2月20日に生まれました。そして、菓子メーカーの社員だった父親の転勤で 小学1年の時に神奈川県へ。テレビ朝日へ局アナとして入社したのは、日本女子大を卒業後の81年でした。
「同期は小宮悦子さん、廣瀬雅子さんらで 最初はタモリさん、山城新伍さんが出演するバラエティー番組を担当しました 」
その後、フリーになるや、明るいキャラで 物おじしない性格と体力を買われてリポーターとして活躍。そのひとつがフジテレビの「なるほど!ザ・ワールド」でした。
「レギュラーは3年半くらいでしたが、1年のうちの3分の2が海外ロケ。すごく楽しかったんだけど、『このままじゃあ、お嫁に行けなくなる』ってことで降板したんです」
ーー印象的な場所といえば?
「ぜーんぶ!(笑い)。強いて挙げるなら、カメルーンの部族の王様に151番目の妻としてプロポーズされたこととか、ラオスで体長2センチのアリを食べたこと。ダカールで見た夕日も美しかったわ」
降板後、しばらくしてご縁があり結婚。一人息子に恵まれ、子育てが一段落してリポーターに復帰。都内から 鎌倉に引っ越したのは01年だったそうです。
小笠原諸島父島に バンガローまで建てた⁉
「海が近く、歴史があって 緑豊か。海外にも知名度が高い。それでいてJRで東京まで1時間弱ですから、住むには本当にいいところ 」
もう1カ所、お気に入りの場所がある。毎年夏に1カ月滞在するためバンガローまで建てたという 小笠原諸島父島。
「 店名の『コペペ』は父島コペペ海岸に由来してるんです。半年間住んでたこともあるし、もう 60回以上行ってますよ 」
離婚当時、中学3年生だった息子さんは 大学を卒業して社会人に。今は県外で働いているという。
「 卒寿を過ぎた母の介護もあって、夏季休暇以外は 毎日バタバタ追われてます。でもそれが 健康の秘訣かもね…」
お話し上手な迫文代さん。鎌倉に来られたら 美味しいカレーとおしゃべりが楽しめる 迫さんのお店を訪ねてみてはいかがでしょうか。