「こんな精子を私の卵子に入れていたなんて、あり得ない」
「種のある男と再婚します」
「不妊症」とは、「定期的な性生活を送り、とくに避妊などをしていないにもかかわらず、2年以上妊娠しない場合」を指します。排卵日前後に性行為を行った場合、妊娠した人の89%が6周期(約半年)までに、99%が12周期(約1年)までに妊娠したという研究結果もあり、一般社団法人・日本生殖医学会は、妊娠を望むカップルが1年を経過した時点で妊娠していない場合、不妊症の検査を受けることが勧められています。
不妊は、女性側の問題とされがちですが、実は男性側が原因で妊娠が難しい夫婦は、思っているよりずっと多いのです。
不妊の原因が男性にある場合、そのほとんどは精巣内で精子をうまく造れない「造精機能障害」です。
「造精機能障害」には、三つの大きな要因があるといいます。
まず一つ目のケースは、良い精子を造る正常な製造ラインが、生まれつき一部しか精巣内にない場合です。
二つ目は、生まれた後、様々な原因で製造ラインに故障が起きた場合です。原因として、おたふくかぜなどの病気や強い薬の影響などがありますが、もっとも多いのは精索静脈瘤という血管の異常です。こうしたケースでは、故障の原因と程度により、精子の生産量が減ったり、形態や機能がおかしい不良品の割合が増えたりします。
三つ目は、精子の設計図、すなわち遺伝子に誤りがある場合です。
三つのケースとも、単に生産量が減るわけではなく、造られた精子に様々な異常が表れます。
三つ目の遺伝子の問題の場合、造られた精子に様々な異常が起き、重症になると精子をまったく造れない無精子症になります。
「妊娠しないのは女性が悪い」と言われた時代が長く続きました。今は、不妊原因は男女半々と言われています。男性不妊の背景を考えると、将来的には「男性側の問題で妊娠が難しい」とされる割合が多くなっていくと予想されています。
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今まで夫婦揃って、妻側の原因だったと思っていたのに、よくよく調べてみたら原因が夫にあった。それを知った夫が「僕のせいで君に迷惑をかけた」「これからの人生、二人で生きていこう」と言うのか、妻が「こんな精子を私の卵子に入れていたなんて、あり得ない」「種のある男と再婚します」と言うのか、本当に両極端に分かれるといいます。
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