長寿バラエティー番組『笑点』(日本テレビ系)が 去る5月17日、Twitterでトレンド入りを果たしたという。司会の春風亭昇太だけがスタジオ入りし、それ以外の師匠たち(林家木久扇、三遊亭好楽、三遊亭小遊三、三遊亭円楽、林家たい平、林家三平)は 自宅からのリモートシステムを使って参加。番組史上初となる“リモート笑点”は、SNSでも大きな反響を呼んでいます。
1966年にスタートし、番組55年目に突入する同番組だが、先週24日 放送回では 初の “リモート大喜利”にも挑戦。同番組プロデューサー・福田一寛氏が その内情を語りました。
健康第一での「苦肉の策」⁉自宅カメラセッティングも各自に任せ…
現在、バラエティー番組は新型コロナウイルスの感染予防のため、リモート撮影による収録が多い昨今。しかし、『笑点』もすぐにリモート収録に切り替えたかというと、そうではなかったと 福田一寛Pは語りました。
「後楽園ホールで 無観客の収録に踏み切ってからも 実は 収録を何回か中止しました。そうすると(収録した)ストックはなくなっていくし、状況も悪くなるばかり。でも、師匠たちの健康を一番に考えなければなりません。そこでスタジオ収録に切り替えようとなったんです」point 259 | 1
結果、17日に放送したように 春風亭昇太だけがスタジオに入り、ほかの師匠たちはリモート撮影となったわけです。そのスタジオはというと、かなりシンプルな構成。
「美術さんも技術さんもほとんど稼働させることが出来ません。(通常の)スタジオやサブコンも使わず、最低限のセットとシステムを用意して今回の撮影になったわけなんです。いわゆる苦肉の策だったんですよ(笑)」と福田Pは打ち明けます。ちなみに師匠たちの自宅にカメラをセッティングしたのは 家族やマネージャーだとか。機材だけを渡し、各家庭に任せての収録となりました。point 315 | 1
間を大切にする落語家『笑点』にこんな時代がくるとは…
その反響はというと言わずもがな。17日放送後のネットでは多くの人が好印象を持ったようで「面白い」の声が続出。一方、師匠たちの反応も好感触だったと福田Pは明かします。
「師匠たちも喜んで参加して頂き、“『笑点』にこんな時代がくるとは思わなかった”とおっしゃってくださいました 」
もちろん、不安もあったという。「どうしてもリモートでやり取りを行うと2秒から2秒半ぐらいズレが発生してしまうんですよね。噺家さんたちは話す“間”を大事にされているので、そこが一番の問題でした。ただ師匠たちも苦労されたと思いますが、だんだんと慣れてきたようで とても面白い掛け合いをしていただけて。OA上は編集していますので、視聴者の方はそれほど違和感がないと思います」(福田P)。point 244 | 1
救急車のサイレン音も⁉「師匠たちスタッフらもハプニングを楽しみつつ…」
17日の放送では救急車の音が聞こえてくるなど、リモートならではのハプニングも発生。しかし、撮り直しなどはまったく考えていなかったという福田P。
「師匠たち含めスタッフである我々も逆にハプニングを楽しむつもりでした。例えばサイレンの音が鳴るということは、換気をして撮影していることの証。サイレンの音が鳴ったときはおいしいなと思ってしまいました(笑)。師匠たちの対応があってこそなんですけどね。実は本番前にシミュレーションを1回やったんですが、三平師匠の映像が固まってしまったこともあったんです。それはそれで周りの師匠たちもいじってくれて。何があっても収録は続行しようとスタッフの間で話をしました」(福田P)。point 343 | 1
これがいつもの後楽園ホールであったら、赤ちゃんの泣き声や、何か大きな物音が鳴ってしまったら、OAに入れることはほとんどないという。確かにこれまで『笑点』で、外部要因で放送に影響を与えることはほぼなかったようです。まさにリモート収録ならではの面白さが生まれた瞬間といえるでしょう。point 203 | 1
「大いなるマンネリを目指したい」営業時代に得た言葉を胸に
放送を開始して55年目に入った『笑点』は、これまでのスタイルを続けることで世代を超えて愛されてきた番組。ともすれば“マンネリ”との声も聞こえてきそうではあるが、それでも多くの日本人が『笑点』を愛し、見続けている。そのことについて福田Pに聞いてみると…
「2016年の12月に『笑点』のプロデューサーになる前の僕は営業だったんです。営業当時、『アナザースカイ』という番組を担当していて、スポンサーであったJTの社長からこんなことを言われました。『アナザースカイ』は『笑点』のような“大いなるマンネリ”を目指したいと。要はマンネリというのは悪いことだけじゃなく、みなさんに浸透している証拠。お客さんが飽きたら今の時代、すぐ見なくなりますが、マンネリ化しても見続けられるのは、それだけコンテンツに魅力があるからだと教えられたんです。そのとき、大いなるマンネリはすごくいいことだなって思いまして。『笑点』はこの大いなるマンネリの最たるものだと思うんです」(福田P)。point 456 | 1
視聴者が望む、望まないに関わらず、コロナのきっかけにより 54年続いた『笑点』が大きな変動を迎えたのです。それが受け入れられたのも 師匠たちの腕があったからこそと断言しています。
大喜利の回答は笑い声とセット⁉ 柔軟に対応した笑点、素敵です…
今回のこの報道にも多くのコメントが寄せられていますが…
《笑点は歴史が長いから、過去の傑作選でも十分繋げられたと思うけど、リモートでの新録に踏み切ったのは今後を考えての事だったんですね。確かにコロナが収束しても、インフルエンザのようにウイルスが完全に消える事はなくて、感染リスクは常にありますし、なおかつ出演者が高齢の方ばかりだったら尚更ですよね。リモートは今後も避けて通れないでしょうね 》
《笑点なんて数年見ていなかったがこれは見なくちゃ。普通に面白そう。高齢者のアイドルである彼らがリモートの波に乗って面白いイメージをつけることで、「機械なんかわからないし対面じゃなきゃ嫌なんだ」と頑固な高齢者も「テレビ電話、いいじゃないか」と手のひらを返すきっかけになる。柔軟に対応した笑点、素敵です 》point 205 | 1
《大喜利の回答は笑い声とセットなんだなぁと感じました。回答の後、シーンとしてるとすべったような、寂しい感じが浮き彫りになりました。回答者の師匠たちの笑いのスイッチも入りにくいんじゃないかと思います。賛否あるけど、笑い声足してもいいんじゃないかと思います 》
等など、様々な視点で 笑点を応援する声が多くよせられているようでした。