わけぎは、分葱という漢字があらわす通りねぎと玉ねぎの雑種で緑黄色野菜の一つに分類されています。西日本で栽培されていることが多く、全国出荷量では広島県尾道市が日本一とされています。球根で増えることから、一般的なねぎよりも根の辺りが少しふっくらしていますが、関東圏では根深ねぎと呼ばれる、根元の白い部分を食べる太めのねぎが主流ということで、やや脇役的な青ねぎ類の見分けがつかず、スーパーマーケット等で見かける際、わけぎも青ねぎの一つと考えている人も少なくないようです。通常の青ねぎよりも、わけぎは辛味が強くないことでクセが少なく、独特の甘味すら帯びていることから、多くの料理に彩りとして添えられる名脇役の一つです。ねぎ類の中でも特に魅力的な甘味を持つわけぎだけに、脇役だけにしておくのはもったいなく、料理の立派な主役として生かしたいものです。
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わけぎが主役といえば、まず欠かせないのが「ぬた」です。ぬたは古来から日本の伝統料理として親しまれ、酢とみその合わせ調味料で味付けされているシンプルで美味しい、素材そのものの味が生かされるレシピでもあります。わけぎを、沸騰した湯にサッとくぐらせる程度に茹でて、3、4センチほどの食べやすいサイズに切り分けて、お好みの味に調合した酢みそでいただくだけというウルトラ時短レシピでもあります。
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わけぎだけのぬたの場合、あまりにシンプルということで、やはり脇役的存在という気配もありますが、食酢とみそという日本が誇る発酵食品どうしのコラボレーションでもある調味料と、薬膳の考え方で身体をあたためる作用を持つとされるねぎ類のわけぎが合わさった、非常に健康的な野菜レシピと言えます。 goo. ne. jp
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ぬたの酢みそには砂糖も少々入れられますが、本体に甘味がほど良く備わっているわけぎの場合、砂糖の量を極力抑えても充分に美味しくいただけますので、ダイエット中の人にも向く一品と言えます。何よりも油が一切使われていないことから、サラダよりも安心な野菜料理と言えます。わけぎも加熱されることで大量の束も驚くほどの分量にギュッと凝縮され、ねぎ類の栄養素がたっぷりのわけぎを一度に多く賞味できることから、緑黄色野菜の効率的な摂取方法としても最適のレシピと言えます。 jp
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ぬたレシピは、わけぎとコラボさせる食材によって、多様なアレンジが楽しめることも大きな魅力となっています。スタンダードなところでは、わかめや油揚げ、イカやタコ、アサリなどの魚介類と合わせますが、そういった純和風レシピのほかに、ハムやカリカリベーコン、ツナやコンビーフなどとコラボさせて、洋風ぬたとしても楽しめます。基本的に、いい感じの塩味がついている食材と、甘味を備えているわけぎとの相性は非常によく、それぞれコラボさせる食材の塩味に合わせて、酢みその味を自分ごのみに変えていく楽しみもあります。 com
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とりわけ便利なところは、ほかのねぎ類と違ってほんの少々の過熱で驚くほどの甘味が出ることで、食べやすいサイズにザクザクと切り分けてから耐熱皿に入れて、さっとレンジでチンするだけで、ぬたの主役にできるところです。まさに時短レシピの、堂々たる主役が張れる野菜と言えます。それだけに下ごしらえの段階で過熱し過ぎないことが最重要で、この点さえ注意すれば、目にも鮮やかな美しい緑色と、絶妙な甘味を心ゆくまで楽しむことができます。わけぎが主役のレシピとしては、チヂミも欠かすことはできません。この場合もどんな食材とも合い、とりわけ魚介類との相性がバツグンということで、味はもちろん、彩りとして必須とも言える野菜となります。チヂミではにらも好敵手と言えますが、しっかりした食感を持つわけぎのほうに軍配が上がるムードがあります。 co. jp