挨拶とは、人と人とが出会ったときや、別れるときに交わす儀礼的な動作や言葉。また、その言葉を述べることを指します。挨拶に用いられる言葉は,「オハヨウ」「コンニチハ」「コンバンハ」「サヨウナラ」などが一般的なもので、「挨拶」の語源は、中国の有名な仏教書にある言葉「一挨一拶に浅深を見んことを要す」だと言われています。
ビジネスの世界、親戚や近所関係など各コミュニティの中ではそういった傾向が見られ、多くの社会で、人間関係を円滑にする上で使用されています。地方自治体や町内会等で「挨拶運動」が行われている場合もあります。顔を見知った人達の中で慣れてきてしまうと、だんだん挨拶がおろそかになったりすることは、どんな人にでも一度や二度、経験がありますよね。しかし、この「挨拶」をしない「挨拶レス」の会社が増えているそうです。
社会人として当たり前とされてきた基本的なあいさつだが、昨今ではほとんどあいさつを交わさないという職場も増えています。マナーの基本中の基本である、挨拶。そんな当たり前とも思えることができていない社会人が実は今、増えつつあります。自分からあいさつしても、よくても会釈。無視されることもしばしば。「お先に失礼します」の一言もなく、いつの間にか姿が消えていたりもあるそうです。
「挨拶はしっかりしなさい」と親や先輩、はたまた上司に注意された経験がある人は多いはずです。それだけに、挨拶をしない人にイラッとしてしまうこともありそうですよね。「女性の先輩なんですが、『おはようございます』とあいさつをしても、上から目線で『はい』とうなずくだけ」や「IT企業に転職するとその習慣は一変した。前職のメーカー営業との落差に驚きました。あいさつがほとんど存在しない」という実体験報告も届いています。
挨拶レスの理由としては、多くの会社ではいま、働き方改革の進行に伴い社員の出退勤の時間にズレが起きているからです。制度でいえば、フレックスタイム制や時短勤務などがありますよね。それらがあいさつレスの要因の一つになっている可能性があります。「僕はそもそも上下関係に縛られているようなあいさつは苦手です。後輩が先にしなきゃいけないとか、声は大きくとか、暗黙の決まりみたいなものがどうもダメ」という個人的な意見もあります。更に、縦社会的な考え方が薄れてきているというのもあるのかも知れません。若い世代では、1つの企業に定年まで勤め上げるという価値観は崩れつつあるのです。
働きやすい職場をつくるコミュニケーション手段は、face to faceだけではありません。離れたところで仕事を進める方にも、メールやチャットであっても、第一声だけは「おはよう」や「お疲れ様です」などの挨拶から始めることも重要です。全国20〜60代の男女1361名に「あいさつ」について調査したところ、約6割が「無視されると腹が立つほうだ」と回答した結果も出ています。日本に「挨拶」という慣習がある以上、しないと「無視されてる」というマイナスの感情を抱く人もいるということを覚えておかなくてはなりません。
当たり前をこなせない人が増えているからこそ、日常に溢れている小さな声かけをできる人に、人は集まるものだと思います。生産性を高めるために、ほんの少しの思いやりまで省いてしまっては、後に続く仕事がスムーズに運ばなくなってしまいます。挨拶をしたからといって作業効率が上がるわけではない。とはいえ、同じ職場で働く以上、雰囲気の良さや対人関係がプラスに働くこともまた事実です。
引越しの際に隣近所への挨拶も減っているようですが、これは挨拶をきっかけにストーカー化してしまうケースもあるようで一概に良くないとも言えません。しかし、家族構成や物件状態によっては隣近所とのコミュニケーションが子供の見守りや安全材料にもなる場合もあります。挨拶をする見極めが必要かもしれません。
あなたは人と会う時や職場で「挨拶レス」になっていないでしょうか。挨拶をすることで今よりもう少し円滑に人間関係を良くできるかもしれません。しない人がいたとしても同じようにならないよう心がけたいものです。
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