ウォーキング(歩行)によって変形性膝関節症による機能低下を抑えることができるかもしれないという調査結果が、米国で報告されています。
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なんと米国の研究チームは、1日6,000歩以上のウォーキングが、変形性膝関節症とそれに伴う歩行困難など機能障害のリスクを軽減するようだ、と報告しました。ご存知ない方もいるかもしれませんが、変形性膝関節症とは、膝の軟骨が減少するなどの原因で膝が変形し、痛みのために立ったり歩いたりすることが困難になる病気です。日本では、患者数700-1,000万人、潜在的な予備群は3,000万人にも及ぶといわれています。膝関節症は、高齢者の身体機能障害の主要な原因のひとつと考えられおり、米国の国民健康栄養調査のデータでは、膝関節症の患者の8割が歩行障害を抱えていて、患者の11%は介護が必要な状態であることが報告されているんですね。
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ウォーキングは、高齢者にとって日常的にもっとも手軽に実行できる身体活動ではありますが、膝関節症を患う患者の3分の2は、週にわずか90分しかウォーキングしていないという米国のデータが記録されています。そこで研究チームは、「患者が、もっとウォーキングをすれば、身体機能が改善するのではないか、と我々は考えました。そして、もしそうなら、一日最低どれくらいのウォーキングが、患者の機能障害を防止するために必要なのかを知りたいと考えたのです」と述べています。
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今回行った研究調査では、多施設共同骨関節症研究の一環として、1,788名の変形性膝関節症患者およびそのリスクの高い人々(平均年齢67歳、平均BMI31、6割が女性)を対象に調査をすることにしました。1日当たりの歩数と膝関節症の関係を調査し、万歩計によって7日間以上の歩数を記録して1日当たりの歩数を割り出し、その後2年間にわたって歩行に関する機能障害の発現の有無を追跡調査しました。機能障害は、歩行速度が秒速1メートル以下になったとき、もしくはWOMACスコアが68点満点中28点以上になったときとします。WOMACスコアは膝関節・股関節の機能制限の度合いを特異的に検討する際に一般に用いられる指標です。その結果、1日当たりの歩数が1,000歩増えるごとに、2年後までに機能障害が起きるリスクは17%低下することが明らかになったんです。さらに研究チームでは、将来的に機能障害になるかどうかの目安として、6,000歩を基準に判断するのが最適だといいます。
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ウォーキングは、費用もかからず誰にでも手軽にできる身体活動ですが、一般的には1日10,000歩を達成するように指導されますが、今回の調査では、6000歩がクリアできればそれなりに健康効果を期待できることがわかりました。ですので、膝関節症の患者やリスクのある人々には、1日3,000歩でよいので今日からウォーキングを始めるのを推奨しているそうです。皆さんもあらゆる病気を患う前に、健康状態をしっかり見直してみましょう。誰でも簡単に始められるウォーキングでも効果が見られます。頑張りましょう。