最近は亡くなった人の遺骨をお墓に納骨せず、海や山にまく散骨を希望する人が増えているといいます。
これは、少子高齢化や核家族化などの社会的背景もありますが、葬儀やお墓についての考え方がひと昔前と比べて少しずつ変わってきたことも理由のひとつです。
例えば葬儀の場合だと「故人が好きだったお花で葬儀の祭壇を飾りたい」というように、慣習にとらわれずにその人らしいお別れをするケースが目立ってきているのと同様、遺骨も思い出の場所に粉骨するといったケースも稀ではないようです。
最近、海外メディアにて、アメリカの80代の夫婦が、長年生涯を共にしてきた亡き妻の遺骨を、夫が二人の思い出の湖に粉骨させた直後に、夫もそのまま意識を失い死亡したというニュースが取り上げられ、ネット上では話題になっています。
このニュースは17日(現地時間)、シカゴ・トリビューンによると、日系移民の第4世代ラルフ誠一宮田(88)氏は、去る4日、1人でインディアナ北部中小都市ラポートのストーン湖に訪れ、船に乗って火葬した亡き妻の遺骨の粉骨を湖にばらまいたといいます。
「私がもし死んだら、私たちの一番の思い出の場所の湖に遺骨を捨ててほしい。お墓はいらないから。」これは去る4月、87歳でこの世を去った妻の最後の遺言だったそうです。
宮田氏は、1955年にシカゴで妻のマジーに出会い結婚しました。宮田夫妻は、1965年インディアナ州ラポートに移住し、2012年にフロリダに移住するまでの47年間、ラポートに住んでいたころのほとんどを、ストーン湖で楽しく過ごしていたといいます。二人にとって休日はこの湖で余暇を楽しむのが日課だったそう。point 209 | 1
だから、ストーン湖は夫婦にとって一番の思い出が詰まった場所だったといいます。
妻は今年4月、病気でこの世を去りましたが、宮田さんは妻の葬儀を終えるとすぐに妻を思い出の場所に連れていこうと決めたといいます。これが妻にとっての幸せだといい、すぐにストーン湖に向かいました。
しかし、宮田さんは長年の友人夫婦に借りた船でストーン湖に出た後、妻の粉骨をすべてばらまきおえると、突然意識を失い、そのまま足を滑らせ、湖に落ちてしまいました。
友達夫婦は宮田さんの捜索を開始し数時間後に発見され、警察に通報。宮田さんは病院に搬送されましたが、その場で死亡が確認されました。
病院の関係者によると、宮田さんの死因は心臓が不規則に動く心房細動現象が原因だったのではないかと推定しました。また、インディアナ州公園管理当局は、「自然死と推定されているため、溺死報告をしなかった」と述べました。
宮田さんが死亡した事故翌日の5日、この日は宮田夫婦の64回目の結婚記念日だったといいます。
宮田さんの子供は、「両親は毎年結婚記念日を忘れずに祝っていた。」とし、「天の国でも、二人で一緒に幸せな結婚記念日を祝ってほしいと願っています。」と述べました。