「夫の死を無駄にしないでほしい」ーー。
大阪市内であった郵便局員有志による集会が開かれました。
マイクを握った埼玉県の女性(当時52)が切実に訴えたのは、今から11年前の2010年12月、
郵便配達員だった夫(当時51歳)が勤務局の4階窓から飛び降りて亡くなったということ。
夫が自殺に追い込まれた原因は、年賀はがきの販売ノルマ達成や時間内の配達を執拗に求められたことだと訴えました。
夫の様子が変わったのは2006年のことだったといいます。
約23年間勤めた埼玉県内の郵便局から、郵便物の取扱件数が首都圏有数の大規模局に異動したのがきっかけだったと話します。
「今日も昼ご飯が食べられなかった」と深刻そうに話す夫。
職場では残業を減らすよう求められたといいますが、慣れない道で配達が思うように進まないと悩んでいたそう。
交通事故などのミスを起こした局員は数百人の局員の前で謝罪させられるそうで、
夫は妻に、「怖い。絶対に上がりたくない」と苦痛を漏らしていたといいます。
郵便局員には、毎年、年賀はがき7千~8千枚の販売ノルマが課せられるそう。
そのため自宅には自腹で購入した年賀はがきが山積みになっていたと妻はいいます。
歳暮や中元、母の日…。歳事のたびにゆうパック商品も自腹で購入。
夫は亡くなる前に、「時間内に配達するので精いっぱい。営業なんかできるわけがない」と話していたといいます。
あまりにひどすぎる課せられたノルマの現状に、家でも夫は次第に笑わなくなったという妻。
休日も外出することすらなくなったといい、心配した女性は08年、夫を心療内科に連れて行くと、
意思からはうつ状態と診断されたといいます。
休職と復職を3度繰り返し、毎年異動希望を出したが、上司からは「病気を治さないと異動させられない」と告げられたといいます。
その後、2010年12月のことでした。
主治医が再度の休職を勧めたというが、夫は「同じ班の人が2人も辞めたので、今は休めない」と断ります。
それから1週間後の朝、駅で姿が見えなくなるまで手を振って見送ったのが夫の最後の姿になったのです。
女性と子ども3人は2013年12月、夫が自殺したのは仕事上の心理的負担による精神障害が原因として日本郵便を提訴。
一方の会社側は「業務と死亡に因果関係はない」と争う姿勢を示したが、
2016年10月、異動希望がかなわなかったことや自殺に至ったことに遺憾の意を示した上、
解決金を支払うことで和解が成立したといいます。
女性は9日に行われた集会で、
「社員を追い詰める会社の体質は、全く変わっていない。家族のため、一生懸命働く社員が報われる会社になってほしい」
と強く訴えました。
これらの報道にネット上からはこんな声が上がっています。
「これが郵便局の隠された実体です。」
「年賀状や贈答の文化は大切だと思うが、売上が減ったらそれでいーじゃんね。メールやSNSという時代の流れを
読んで対応すべきだし、代わりに新しいサービスが増えて業務は多岐にわたるんだし。ほんと、仕事に関しては足し算ばかり、少数派の否定的意見の尊重ばかり。だから過労死とか心の病が社会問題になるんだよ。」
「郵便局に限らず生損保保険会社の営業職員、銀行渉外担当等、何故身銭を切らなきゃいけないんだろう…
組織のトップがしっかりしていないと組織が腐敗するのは世の常だけれど真っ先に被害を被るのは現場職員…
政権政府に代表する様にやりたい放題でまるで品がない。」
などのコメントが寄せられていました。