鬱語があるって本当!?
日本でも100人に3~7人が経験しているとされる精神疾患のうつ病。
世界にも3憶5000万人のうつ病患者がいると言われています。
程度にもよりますが、見た目にはうつ病だと周囲から気付かれない場合もあります。それほど理解されづらい精神疾患の1つだと言われているのです。しかし今回、最新の言語分析によりうつ病の人に特有の言語的特徴があることが判明しました。
うつ語とは、一体どのような言葉なのでしょうか?
うつ病とは?
うつ病(うつびょう、鬱病、欝病、英語: Clinical Depression)は、
気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である。
鬱語ともいうべき特殊な言葉
海外オンラインメディア「Big Think」によると、医学雑誌「Clinical Psychological Science」に掲載された新研究により、うつ病患者は“鬱語”ともいうべき特殊な言葉を話していることが明らかになったとのことです。
うつ病患者の話す言葉には言語的な特徴があることは以前から知られていました。
これまで、米ロックシンガーのカート・コバーンや、米詩人のシルヴィア・プラスといったうつ病を罹患していた人物が書いたエッセイや日記が分析対象として活用されてきたそうです。
しかし、いくら慎重になっても、人間の能力では言葉遣いの細かな違いを見逃してしまう場合がありますよね。
そこで今回、英レディング大学の心理学研究者らは、数分で巨大なデータ群を分析することができる最新のコンピュータ解析技術を利用し、小さな変異、よく使用される語や語の種類、語の多様性、文の平均的長さ、文法的パターンなどを数値で正確に計測したのです。
五語と鬱の関係
うつ病患者が、“さみしい”、“悲しい”、“みじめ”といったネガティブな感情表現を使いがちであることは容易に想像できますよね。
しかし今回の研究で明らかになったのは、うつ病患者には、“私”“あなた”“彼ら”などの人称代名詞の使用頻度に大きな偏りがあることが分かたのです。
アルモサイウィ氏によると、英語の1人称代名詞、me、myself、Iの使用頻度が統計的に有意に多かったとか。
つまり、うつ病患者は“私”を中心とした言語使用を無意識のうちに行っており、他者への関心が薄かったのでした。
1人でうつうつと生活上の問題を考えたり、社会的な孤独を感じることはうつ病のよく知られた特徴であり、1人称代名詞の使用頻度の高さもそのことを反映していると見ることができます。
しかし、1人称代名詞の高頻度使用とうつ病の因果関係は今回の研究からは明らかになっていません。つまり、1人称代名詞を使う自己中心的な思考がうつ病を引き起こすのか、うつ病になると自己中心的な思考になるのか、原因と結果の向きが定かではないのです。
白黒をはっきりさせたい絶対主義的な傾向
また、うつ病患者は白黒をはっきりさせたい絶対主義的な傾向にあるとみられています。
なぜならば、独立語(absolute words、絶対語とも)」と呼ばれる語の使用頻度が極めて高かったのです。
(独立語というのは、“常に(always)”、“何もない(nothing)”、“完全に(completely)”といった「例外がなく、100%正しいか、100%間違っているかいずれかの場合に使用される語」(「Austin Community College」より)のことである)
まとめ
うつ病患者は、絶対主義の完璧主義のような性格のゆえに、うつ病になりやすいのかもしれません。
そのような性格は真面目で誠実で、とても素晴らしい性格だと思いますが、心のゆとりを持つことも大切だと思い知らされます。
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