1995年前後のピーク時には「30兆円産業」といわれていたパチンコ・パチスロ業界だが、公益財団法人日本生産性本部が発表した「レジャー白書2019」によると、2018年の市場規模は20兆7000億円にまで落ち込んでいるそうです。
その背景には、まずパチンコ・パチスロの出玉性能の変化があるということです。
「パチンコ業界の傾向として、機種の射幸性(ギャンブル性)が抑えられてきており、大きく勝つ可能性が低下。その分大負けする可能性も低くなり、緩やかに遊べるようになっているのですが、やはりユーザーはよりスリリングな機種を求めがちなので、遊技人口が減少しています。パチンコ店の数もかなり減ってきており、ピーク時は全国で1万8000店ほどだったのが、最近では1万店を割っています」
パチンコ業界に詳しいフリーライターの藤井夏樹氏はこう話します。point 274 | 1
客を呼び込むために様々なサービスも
「パチンコを打たない人向けのサービスも多いです。広々とした休憩スペースがあったり、マッサージチェアがあったり、漫画喫茶のように無料で読める漫画がたくさんおいてあるホールもあります」(藤井氏)
そうした流れを受けてなのか、パチンコは 打たなくても、パチンコ店には行くという人もいるようです。
「一応パチスロを打つこともあるんですが、最近の機種は出玉も少なくて、あまり勝てなくなってきた。高設定台とかチャンスゾーンに近い台なんかを探して打っているのですが、なかなか良い台がない。だから、パチンコ店に行っても、ずっと休憩スペースで良い台が空くまで待機しているということも多いです。気がついたら打てそうな台がまったくなくて、1日中休憩スペースで漫画を読んでいたなんてこともあります(笑)」
20代・男子大学生のBさんは、このような理由でパチンコ店の休憩スペースをよく利用するそうです。point 289 | 1
「夫がパチンコ好きで、休日によく行くので、それに付いて行くんです。私たちがよく行っているのは、ショッピングモールと隣接しているパチンコ店。休日の昼前くらいに、車で行くのですが、私が買い物をしている間、夫はパチンコを打っている。買い物が終わったら荷物を車に置いて、パチンコ店で夫と合流。夫は『もうちょっと打ちたい』ということが多いので、その間、私はパチンコ店内の休憩スペースで待っています。漫画もあるし、無料でもらえる飴なんかもあるし、良いリラックスタイムです」
30代・主婦のAさんは、ギャンブルはまったくしないのですが、休日に夫と一緒にパチンコ店に行くことは多いそうです。point 343 | 1
パチンコを打たなくてもパチンコ店によく行く?
また 休憩スペース利用以外でも、パチンコ店にはよく行くというケースもあるというのですが…
「街中の喫煙スペースなども利用するのですが、パチンコ店であれば椅子もあるし、ゆったりタバコを吸える。帰宅時に最寄りの駅のパチンコ店で一服するのが日課になっています。
今後、パチンコ店が禁煙化されるのは辛いですね……。是非喫煙専用の部屋を作ってほしいところです」
タバコ休憩のためにパチンコ店を使うという 30代・男性会社員のDさんはこう明かします。point 184 | 1
「トイレを借りるためにパチンコ店に入ることは多いです。仕事柄、東京都内のいろんな駅を利用しますが、それぞれの駅周辺に、トイレを借りるためだけの行きつけのパチンコ店があるほどです。
駅のトイレや駅に隣接している商業施設のトイレなんかは混んでいることも多いけど、パチンコ店のトイレは空いてるし結構きれいで、使いやすいんですよね」 40代・男性会社員のCさんはこう話します。
パチンコ店のトイレがきれいで空いている理由は?
「パチンコ店は、サービスが行き届いていないとなかなかお客さんが来てくれない。そのためにもこまめにトイレを掃除しているお店が多いのは、間違いないでしょう。
あと、トイレの数自体はそこまで多くないのですが、意外と空いているのも確かです。パチンコユーザーは飲み食いせずに打ち続けている人が多いし、トイレに行く時間があればその分打っていたいという心理も働いているのかもしれません」(藤井氏)point 276 | 1
本来、パチンコ店のサービスはパチンコユーザーのためだとしても、パチンコを打たなくても 様々な理由で パチンコ店を利用している人がいるのもまた事実と言えます。そういった人々にも、パチンコ店の減少は 様々な影響を与えることになることでしょう。