約10万人に 1人という珍しい難病「アラジール症候群」を患う1歳児を持つ両親が、英メディア『Mirror』『Metro』などのインタビューに応じました。そして 「この病気についてもっと多くの人に知ってもらいたい」と訴えました。
1歳3か月になるが、身体は生後6か月の赤ちゃんほど
英デヴォン州エクセターに住むジェマ・チャニングさん(25)とロイド・ウェブさん(27)の息子ローガン・ウェブ君(Logan Webb、1)は、主に肝臓・心血管・眼球・顔貌・骨格に関わる先天性の難病「アラジール症候群」を抱えています。認知度が低くなかなか診断がつかないことも多いが、乳幼児から 胆汁うっ滞による痒みや黄疸がみられ、重症度も個人によって様々だという。
2018年12月生まれのローガン君は 1歳3か月になるが、身体は生後6か月の赤ちゃんほどの大きさしかなく、誕生後はほとんどの時間を病院で過ごしてきました。ローガン君の場合は心臓と肝臓に障害があり、皮膚の色は 胆汁の流れが阻害されているために 黄色く、一日に10種類の薬を飲んでいる。また椎骨にも異常があり 常に身体が痛むほか、身体が痒いため皮膚を血が出るほどかきむしってしまうこともあるようです。
両親は外出する度に「なんの病気なの?」「ちゃんとケアしているの?」「黄疸が出ているから、すぐに医者に見せるべき」などと声をかけられるそうですが…
皮膚の色からローガン君を映画『シュレック』に登場する黄緑色の怪物“シュレック”や、『ミニオンズ』の黄色い生き物“ミニオン”、映画『グリンチ』の緑色の主人公“グリンチ”などと呼ぶ人もいるのだという。
もっと多くの人に病気のことを知ってもらえれば…
ジェマさんはスーパーに買い物に行ったある日の出来事について、こう振り返りました。
「ローガンを連れてスーパーで食料を買い、車に乗って走り去ろうとした時でした。見知らぬ女性が車の窓ガラスを叩いて、私たちを呼び止めたのです。その女性は駐車場にいるローガンを見て勝手に救急車を呼び、私たちにすぐに病院に行くように告げました。私はローガンが治療中であることを説明しましたが、女性は『この子が私の息子だったら今すぐ病院に連れて行くわ』の一点張りでした。駆けつけた救急隊員は状況を飲み込んでくれましたが、外出するたびに息子のことで質問されたり、心無いことを言われるのです。ある程度なら我慢はできますが、外出することが楽しくなくなり、親として心が痛みます…。」
ジェマさんはさらに、ローガン君の誕生後「長くは生きられない」と医師に死の宣告を受けたことを明かし、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』に次のように綴っています。
「ローガンは 心臓手術と肝臓移植をしなければ長く生きることはできません。でもイギリスでは手術はできないと言われ、アラジール症候群の専門家がいる 米カリフォルニア州で手術を受けることになっています。私は毎日、『もしかしたら、今日が最期の日になるんじゃないか』と不安になるのです。」
「ただローガンは どんなにつらい時でも、私たちに希望を与えてくれるのです。あの子は痛みや痒みと闘っていても、声を出して笑って、精いっぱい生きています。ローガンの笑顔はまわりのみんなを幸せにしてくれる力を持っています。私は生きるために闘っているあの子のそばに寄り添い、しっかりと支えてあげたいと思っています。ローガンがどれだけ長く生きられるのかはわかりませんが、普通の子供たちと同じような生活ができるようになることを願っています。」
アラジール症候群については解明されていない点が多々あり、認知度も低い。ジェマさんは「ローガンの笑顔をみて欲しい。そしてもっと多くの人に病気のことを知ってもらえれば」と語っています。