今や当然のように使われている「パパ活」という言葉ですが、もともとその言葉を使い出したのは大手愛人クラブ「X」だといいます。今やSNSやアプリを通して大流行し、昨今では性犯罪にまで発展している「パパ活」。その生みの親の実態について取材しました。
昨年1月、10代の女性に睡眠薬を飲ませて性的暴行を加えたとして、強制性交の疑いで東京都文京区の無職・後藤武彦容疑者(当時49)が逮捕されました。後藤容疑者はTwitterで「パパ活」をしたい女性を募集し、被害者女性とコンタクトを取ったといいます。警察によると後藤容疑者は余罪があると見られ、同様の手口で50件以上の被害に関わっているとみて捜査を進めています。
「パパ活」という言葉の生みの親である愛人クラブ「X」は、2015年頃に女性会員を増やすために作った言葉だといいます。その成果は抜群で、男性と食事やデート、時には性交渉をする代わりに女性が対価を得る「愛人契約」を「パパ活」と呼ぶことで、女性側の罪悪感を払拭することに成功しました。現在、会員は全国に約1万1500人にものぼり、男性会員のみが閲覧できるページには女性会員の写真や自己紹介動画がずらりと掲載されています。
女性会員は美貌や知名度に応じて、運営側によってスタンダード、ゴールド、プラチナム、ブラックの4段階に格付けされています。一方男性会員も、3万~30万円の入会金に応じて4クラスに分けられているるため、高額の入会金を支払った男性には、上位ランクの女性が紹介されるシステムとなっています。上位の女性会員には芸能人やAV女優なども含まれており、VIP待遇の男性にのみ直接紹介されるとのことです。
会社経営者の50代男性・A氏は、会社員のかたわら、30代向け女性ファッション誌の読者モデルとしても活動している愛子さんが気に入り、顔合わせをすることに。女性会員は『交際タイプ』という5段回の条件設定が選べるようになっており、愛子さんは2回目以降であれば交際に発展する可能性があるタイプB。ここでいう「交際」というのは肉体関係を持てるかどうかという意味だということで、A氏は「愛子さんのような美女と愛人になれたら……と思うと胸が高鳴りました」と大喜び。
「名前を検索したら本当に読者モデルなんだとわかり、2回目も誘いました。会ったのは渋谷区円山町の料亭です。食事の後、ホテルに行くか提案したら、『都度5万円です』と言うので、それなら払えると思って愛人契約を結びました。」
当然のように行われている愛人契約は「売春」にあたらないのでしょうか。アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士は「そもそも売春行為とは対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいうと定義づけられています。『X』が行っているような愛人クラブビジネスを売春斡旋と断じることはできませんが、非常にグレーな商売であることは確かです」と指摘しました。“グレーな商売”はネットやSNSを通して、さらに「パパ活」という言葉に便乗し益々身近なものになっています。違法スレスレの愛人ビジネスは拡大していく一方です。