1992年に26歳の若さで亡くなったカリスマ的シンガーソングライターが、尾崎豊です。
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遺体が発見されたのは、尾崎豊の自宅から500メートルほど離れた民家の軒下でした。傷だらけの状態で倒れていたところを、住民が発見しそのまま搬送されました。一時期は自宅に戻ったものの、容態が急変、再び搬送された先の病院で息を引き取りました。
彼の遺した数々の名曲は、今もファンによって歌い継がれていますが、近年で最も注目を浴びた尾崎豊の歌い手としては、実の息子である尾崎裕哉でしょう。彼もまたシンガーソングライターとしてデビューし、父・尾崎豊の楽曲をカバーしています。
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尾崎豊の音楽の魅力は、その歌詞の世界にあるともいえるでしょう。大人という存在に対してストレートな言葉で疑問や反抗の気持ちを投げかける尾崎豊の歌詞に、当時自分の気持ちを重ね合わせたファンはたくさんいました。彼の歌詞は、多くの人の心を動かし共感を呼び、伝説となったのです。では、そんな彼の曲の中で人気のある歌詞はどのようなものがあるのでしょう。
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「盗んだバイクで走り出す/行き先もわからぬまま/暗い夜の帳の中へ/誰にも縛られたくないと/逃げ込んだこの夜に/自由になれた気がした/15の夜」
尾崎豊の代表曲でもある「15の夜」は1983年にリリースされた曲で、彼のファーストシングルでもあります。この歌詞に代表されるように、尾崎の歌は自由であること、自分の思うままに生きてみたいという心をそのまま歌い上げたものが多く、多くの共感を得ることとなりました。
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「15の夜」と同じアルバムに収録されている曲である「17歳の地図」も尾崎ファンの中で人気の曲です。
「人波の中をかきわけ 壁づたいに歩けば/すみからすみはいつくばり 強く生きなきゃと思うんだ」
「ちっぽけな俺の心に 空っ風が吹いてくる/歩道橋の上 振り返り焼けつくような夕陽が/今心の地図の上で起こる全ての出来事を照らすよ/Seventeen’s map」
サビ部分のこの歌詞は、次第に大人になっていく自分の不安を歌い、その上で生きることを強く肯定した歌です。実際、尾崎豊自身も荒れた学生生活を送っていたこともあります。デビューしたばかりの「17歳の地図」にはその初々しさと経験に裏打ちされた本当の言葉が書かれているのです。
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同じように、「僕が僕であるために」も有名な歌として知られています。この歌は2011年のドラマ「鈴木先生」でも使われており、死後もなおその歌詞の世界が影響力を持っていることがわかります。1997年には同じタイトルのドラマ「僕が僕であるために」が制作されていることでも有名です。
「僕が僕であるために/勝ち続けなきゃならない/正しいものが何なのか/それがこの胸に解るまで」
人生に勝つということは何であるのか。それは良い成績をおさめることや、大きい会社に入ることではないはず。それを自分で探していこうという前向きな歌詞は、ファンの心を今もとらえています。叫ぶように歌い上げる尾崎豊の姿もとてもかっこいいです。
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そして「シェリー」はファンの中で知られている名曲です。尾崎豊のセカンドアルバム「回帰線」に収録されており、2008年には歌手の中村あゆみにもカバーされています。
「シェリー俺は転がり続けて/ こんなとこにたどりついた/シェリー俺はあせりすぎたのか/ むやみに何もかも/捨てちまったけれど」
セカンドアルバムは、アーティストとして成功した尾崎の不安がストレートに表現されているのが特徴です。ファーストアルバムである「17歳の地図」で示された青年像より、少しだけ己の弱さを表現しています。あせりすぎたのか。この歌詞は自分の今を振り返るときの戸惑いをよく表しています。
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他にも尾崎豊の歌は「卒業」や「I Love You」など名曲ぞろいです。聴いてみると懐かしいような、そして自分の青春時代を思い出すような気持ちになります。それが彼の歌が歌い継がれる理由なのかもしれません。