大阪メトロは９日、地下鉄の長堀鶴見緑地線ドーム前千代崎駅（大阪市西区）で、顔認証システムを用いた自動改札機を報道陣に公開しました。顔写真を事前登録することで、定期券や乗車券を持たなくても駅の入退場ができるようになります。
今回の顔認証システムは、全国の鉄道で初めての試みといいます。
１０日からメトロ社員を対象とした実証実験を始め、２０２５年大阪・関西万博に先立つ２４年度に同社が運営する大阪府内の地下鉄など全１３３駅で導入を目指す予定です。
大阪メトロによると、利用者が改札機を通過する際、備え付けのカメラで顔を撮影し、データを本社のサーバーに送信。登録された顔写真と照合し、改札機の扉を開ける仕組みになっているそうです。
実証実験は１０日から来年９月３０日までの予定で、当面は顔写真を登録した社員約１２００人が参加する予定です。同駅の他、大国町、動物園前、森ノ宮駅でも顔認証の改札機を１～２台置いて行うとのことです。
設置される顔認証の改札機は、それぞれメーカーが異なり、速さや正確性などを比較・検証され、機械の精度向上に取り組まれます。
現時点では、利用者の口元をマスクで覆うなどすると、認証できないケースがあります、車椅子の使用者、ベビーカーの親子連れらに利便性が高いといわれています。
９月１２日には、セブン銀行で顔認証機能を使って口座開設ができる新型の現金自動受払機（ATM）「ATM＋」を開発したと発表されたところ。これにより、銀行窓口に行かなくてもコンビニなどで手軽に口座を開けるようになります。なお、将来的には入出金も顔認証だけで可能となるサービスの提供も検討しているとのこと。日本国内でも、ハイテク化に向けて着実に動き出しているようです。
一方、中国では既に顔認証が急拡大しており、駅の改札はもちろん、セブン‐イレブンでは、２０１９年５月から広東省のおよそ１，０００店で顔認証決済を導入済。
利用者は、「ジョギングの時にスマホを出すのは不便だから便利だ」、「携帯で決済できるなら、顔認証で決済できるのも当たり前」等と話しているといいます。
便利になるのは大歓迎ですが、気になるのは個人情報。
「顔認証はあまり好きではない。顔認証のデータは盗まれても変えることができないので、安全面で改善する必要があると思う」、「国規定の水準だったら使う」等という意見も出ています。
大阪メトロの広報課は、「導入した際の顔写真データなど、個人情報の取り扱いは今後、検討していきたい」としています。