大阪の百貨店で始めた新しい取り組みが話題になっているーー。
大丸梅田店がにオープンした新ゾーン「michi kake(ミチカケ)」で試験導入されている「生理バッジ」を巡って、
SNSで「店員が生理だということは客には関係ない」「従業員に生理の状態をオープンにさせるような企業はおかしい」などと批判が寄せられています。
売場では生理中の女性スタッフが「生理バッジ」を胸に着けて接客を行っているというのですが、
このバッジをつけるか否かはスタッフ個人の判断に任されているとのこと。す。
なぜ百貨店がこのような取り組みを始めたのか、担当者に直接話を伺いました。
プレス内覧会が行われ、WWD JAPANが「女性の性と生理にフォーカスした新売り場を大丸梅田店がオープン スタッフの“生理バッジ”も導入」と報じると、Twitterで話題に。
生理バッジとは、生理中(月経中)であることを社員が示せる、服に付けるプレートで、
通常のmichi kakeフロアをアピールするプレートとリバーシブルになっており、
裏返すと生理バッジとして使えます。小山健さんの漫画「ツキイチ!生理ちゃん」とコラボレーションしており、
キャラクター「生理ちゃん」がモチーフになっています。
大丸梅田店の今津店長はミチカケの狙いについて、
「性や生理といったテーマはこれまでタブー視されオープンにはされてこなかったが、昨今のフェムテック等の拡がりにも見られるように、もっとオープンに語られてよいものに変わってきた。我々も商いをする上で売れるものをできるだけ集めたいという想いがあるが、潜在的なニーズを拾い上げるトライも重要だと考えている。今後も百貨店に存在価値があるとすれば、百貨店がそういった新しいテーマを取り上げることでメッセージを発信し、世の中ごと化できる点だと思う」point 217 | 1
と、このように話しています。
時代の変化とともに、百貨店へのニーズは年々減っているのは確かなことです。
ECサイトの需要が爆発的に増えたことで、お客さんが店舗へ足を運ばなくなってきたため、
様々な百貨店があらゆる試みをかけて挑戦し、生き残りをかけてチャレンジを続けているといいます。
ミチカケはそんな業界の背景とフェムテックや #MeToo などで女性が声を上げやすくなった流れが重なったのではないかと思われます。
一般的に女性の生理期間は3~7日間程度。
現在、多くの職場では男女が同じ立場で働くようになってきており男女差がない会社が多いです。
しかし、女性には約1カ月かけてホルモンバランスが変化する特有のバイオリズムがあり、
そのホルモンバランスの変化は女性の身体や心に大きな影響を及ぼします。
生理前はネガティブな影響が多数あり、身体的には腹痛やむくみ、肌荒れ、便秘などを引き起こし、精神面ではイライラや無気力、集中力・判断力の低下などの影響があらわれます。
生理については女性にしかわからない苦痛もあり、男性にはなかなか理解してもらえないもの。
そこで、「生理中」というステータスをオープンにすることで、
共に働く周りのメンバーに生理中であることを認識してもらえば、
業務を分担したり、在宅ワークの環境を整えてくれたりといったサポートが得られるメリットが考えられると話します。
しかし、接客業がメインである百貨店で、来店客に販売員の生理の状態を共有することは本当に必要なのでしょか?
ミチカケでの生理バッジの取り組みはすでに複数のメディアで報じられており、SNS上でも話題となりましたが、
賛否両論の声が殺到しており、一部では批判の声も。
しかし、このような批判が起こることは、大丸梅田店も覚悟の上だったとしていますが、
それでも大丸梅田店が店員の生理をオープンにした理由とは何だったのでしょうか。
ミチカケ担当者の佐藤さんはこう話します。
「これまで百貨店は美しさや格好良さといった表層的なニーズに寄り添ってきたが、深層の悩みには寄り添ってこられなかった。ミチカケの取り組みを通じて、お客様の内面にも寄り添っていきたい」
そんなきっかけ作りのアイデアの一つとして生理バッジが実験的に導入されたというのです。
生理バッジの主目的はコミュニケーションの一つであるということですね。
ただ、今回の生理バッジの取り組みをきっかけに、
女性だけでなく男性も生理について改めて考えることができれば十分に価値があったのではないでしょうか。
社会的には男女は平等であるべきだが、身体の作りが異なるということは純然たる事実。
世間からの批判があっても新たな取り組みを試みているミチカケの今後の発展と進化を見守っていきたいと思います。