夢の中や、非現実的な世界の中では、必ずしも動物を助けると報われることになっていることが多いですよね。すずめや、鶴や、はたまた、お地蔵様が恩返しに来てくれたり、宝物をくれたりする流れをみんな想像しがちです…
しかし、現実ではなかなか、物語のように美しくはいかないものですよね。それどころか、猫を助けたために、○○処分…なんていう”バッドエンド”になってしまうところが、この世を不条理に思う瞬間かもしれません。
猫を助けた男性作業員
アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアの『モーリス・ジャーマン』さんは電話会社で、技術者をしている。当時、電話線の工事を屋外でしていたモーリスさんに、近所の住人が声をかけてきました。
「うちの猫が電柱に登ったまま降りられなくなっています。助けてもらえませんか?」
話を聞けば、彼らの飼い猫の『プリンセス・マンマ』という名前の猫が12時間近く電柱のてっぺんで震えているというのです!すぐに飼い主は、アニマルレスキューや消防隊にも助けを求めたようですが、上手くいかなったといいます。
そこで話を聞いたモーリスさんは、作業用のクレーンを現場に回し、無事にマンマを救い出したのです!
その時の映像がこちらです。
“Momma” the cat is rescued in Port Richmond after a long ordeal. See how the community came together to get it done on #CBS3 at 11. (📹= Amanda Boyce) pic.twitter.com/N2hlGoQGNC
ADVERTISEMENT — Steve Lindsay (@SteveLindsayCBS) March 17, 2019
これで「めでたし、めでたし!」と終わっていれば本当に素晴らしい救出劇だったのですが、残念ながらこの出来事には続きがありました。
猫を助けた為に、3週間の◯◯処分!?
後日、モーリスさんは雇用主の会社ベライゾン社から、突然『3週間の停○処分』を言い渡されたのです……。
それは『規則を守らず、従業員と顧客の安全をおびやかした』という理由でした。なんと、モーリスさんの使っていた作業用クレーンなどが、猫のマンマがいた地域では使用できないものだったのです。
これに伴い、モーリスさんの雇用主ベライゾン社の担当者は、
「我々としても、喜んで処分を下しているわけではありません」
「この従業員の目的は称賛に値するものでしたが、彼は自らの命と周りにいた人たちを危険にさらしたのです。我々は従業員とお客様の安全を守る責任を負っているのです。」とコメントをしたそうです。
しかし、“動物保護“という目的を疎かにしているわけではないことを示すため、ペンシルベニア州の動物◯待防止協会に寄付をする予定だということもコメントしています。
声をあげる人々が続出
『プリンセス・マンマ』の救出劇が行われた、そのすぐ近くの家に住むアマンダさんという女性が、ベライゾン社のモーリスさんへ対する処分を知り、ベライゾン社に猛抗議!
すぐ、Facebook上で『CAT’S LIVES MATTER(猫の命は大切だ)』というメッセージとモーリスさんへのサポートを示し、この出来事の拡散を呼びかけました。
すると、投稿を見た人たちからは「ベライゾン社との契約をキャンセルする!」「この男性は報酬を受け取るべきよ。ベライゾン、態度を変えなさい」といったコメントが多く寄せられるようになったのです。
また、ベライゾン社のTwitterアカウントに、主に動物好きを自認する人々からの
「猫を助けたからといって従業員を停○にするって、本気なんだ!最低!」
「13年間ベライゾンを使ってきて、回線も4本持ってるけど、この週末に他の会社に乗り換える。もっと地域のことを気にかけて、猫を助けた従業員は賞賛されるような会社にね」
このような批判の声が、集まっています。
ベライゾン社・従業員のコメント
ところが、そんな非難の声が集まる中にベライゾン社の従業員のコメントがあり、今回の出来事についての背景を詳しく説明しているので、ご紹介させていただきます。
『あなたたちは誤解しています。モーリスさんは猫を助けたから処分を受けたのではなく、彼はいくつかの重大な安全規定を破ったのです。このルールは特に彼自身の命を守るためのものなのです。
ADVERTISEMENT 我々は過去2年間に、似たような状況で2人の作業員の命を失いました。彼らは感電死したのです。弊社の技術者は高所にある電線の扱いについての訓練を受けていません。今回のケースではモーリスさんは危険な電線に触れる必要がなかったのでしょう。
ADVERTISEMENT あなたがたが我々の従業員に対して行っていることに感謝しています。しかしながら、私たちは今後も世間からどのような非難を浴びようと、我々の従業員の命のために同じ選択をするでしょう。』
ベライゾン社の担当者がいうとおり、幸い今回の『プリンセス・マンマ』の救出では誰もケガをしませんでしたが、近所の住民やモーリスさん本人がケガをする可能性があった、ということは事実です。
その一方で、モーリスさんが助けてあげなければ、マンマの命が脅かされていたかもしれないのもまた、事実です。
まとめ
また、モーリスさんのために寄付金サイトを立ち上げたそうですが、多くの人たちの寄付によって数日で目標金額以上の額に達したそうです!
この寄付金は3週間もの間、仕事ができないモーリスさんにとって大きな助けになると予想されます!
しかし、こうした動きについて、モーリスさん自身は沈黙を守っているというのです。
海外では様々な意見がありましたが、今回のことにモーリスさんが落ち込まずに前を向き、これからもその優しさを持ち続けたまま、変わることなく自身と周りの人々の安全を第一に考えて、仕事をしてもらいたいですね。
[著作権者VONVON /無断コピー、無断転載および再配布禁止(違反時の法的措置)]