12日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)に向けて、宮城野部屋が 4日、東京・墨田区内の部屋で新年2日目の稽古を行ったが、熱が入るあまり三番稽古(同じ相手と連続して相撲を取る)の途中で、両者がケンカまがいの“乱闘”にまで発展してしまう場面があったそうです。
熱が入るあまり?せっかくの良い稽古が台無しに-
幕内力士で西前頭10枚目の石浦(29)と、兄弟子にあたる幕下力士が三番稽古。勝負が決まった後に、勝った方がだめ押ししたことや、立ち合いの張り差しなども発端となりました。
負けた石浦が左太ももで蹴りを入れ、次の1番では負けて上がり座敷に倒れ込んだ幕下力士に、襲いかかるようにのしかかったのでした。
たまりかねた横綱白鵬(34)が「いいかげんにしろ。せっかくのいい稽古が台無しになるぞ」とたしなめ、上がり座敷にいた宮城野親方(元前頭竹葉山)も注意しました。
その後は何番か、内容の濃い相撲を取り続け冷静さを取り戻したかにみえましたが…
心の“導火線”に火が付いていた二人が、再び勝負の決した後に拳を握りながらの、さながらボクシングかと見まがうような“乱闘”を演じてしまったようです。
危機管理部長にも電話で迅速な報告
読売新聞
ここ数年、角界で問題になった陰湿で、加害者と被害者が明らかな事案とは質が異なり、第三者不在の、密室や陰でふるわれていた暴力とも違います。激しい稽古で感情むき出しになるのも同情の余地はあり、一昔前なら看過されていてもおかしくないシーンだったようです。
ただ、一連の暴力事案を受けて日本相撲協会では、研修会開催など暴力根絶に向けて一丸となっているのも事実です。
さすがに見過ごすわけにはいかないと判断した宮城野親方は、両力士から事情聴取。「何回もだめ押しがあって、ちょっと(石浦が)熱くなってしまった。悪気はないだろうが、きつく注意する以外にない。お互い反省しているが、あれ(乱闘)を見せられては(他の力士や雰囲気に悪い)影響を与える」と両者に注意しました。
さらに「暴力は暴力。当たり前のことです」と、同じ伊勢ケ浜一門の理事(高島親方)と危機管理部長(鏡山親方)に電話で報告したということです。
稽古場のことだから仕方ない?
迅速な対応ではあるが、協会の仕事始めは 週明けの6日のため、この日はそれ以上の動きはなかったようで、親方によれば両理事の反応は「稽古場のことだから仕方ない」とのことだったそうです。
「中学の先生に『心は熱く、頭は冷静に』と言われていましたが…。
ちょっと熱くなりました。(師匠からは)『冷静にやれ』と言われました」と石浦。
「一生懸命(稽古を)やった末のことですから」と幕下力士も言っており、当事者たちは 常軌を逸した感のある稽古を振り返って しきりに 反省していたそうです。