毎年1年間続く雄大な歴史描写や豪華なセット、キャストなどが魅力のNHK大河ドラマですが、実は低迷期もあって半年間で終わってしまった作品もありました。1993年に放送された「琉球の風」もそのひとつで、16世紀末の琉球王国について人々の生活を描いたドラマですが、NHKの大河ドラマ史上初の半年打ち切りという結果になってしまいました。どうしてこんなに早く終わってしまったのか、背景となる原因を探ってみましょう。
テーマがあまりにもローカル
写真:hifumi.ocnk.net
大河ドラマと言えば戦国時代の武将や徳川家の将軍、平安時代や室町時代の貴族などを題材にした作品が多く、特に子供から大人まで知っている有名な歴史上の人物が主人公の作品は大ヒットして話題になります。
「赤穂浪士」
写真:古書 ひふみや – おちゃのこネット
「太平記」
写真:wellhuang.blogspot.com
「独眼竜政宗」
写真:オークファン
「秀吉」
写真:アマゾン
など平均視聴率20%を超える作品も珍しくなく、最近では「篤姫」がヒットしたのが印象的です。
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「琉球の風」は1993年に放送された大河ドラマで、16世紀の終わりごろから17世紀初頭に琉球王国が薩摩藩島津氏により支配されていく時代を描いた作品です。
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琉球王国は沖縄のことだと分かっても、あまりイメージがわかず、日本史の授業でもほとんど取り上げられないようなローカルなテーマなので視聴者もドラマの世界に入りにくくて、最初からあまり期待されない大河ドラマになってしまいました。
テーマ音楽はNHK交響楽団が演奏するのが伝統ですが、「琉球の風」は谷村新司のポップス曲が使われているのも異色な感じです。
写真:NIKKEI STYLE
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オープニングの曲全体に歌詞が付いているのは全大河ドラマの中でもこの作品だけで、半年間という短い放送期間に加えてテーマ音楽でも他作品と違うものになっています。ちなみに平均視聴率は17%台で、最高視聴率は24%だったので視聴率的にはそれほど悪い数値ではありません。
架空の世界が多すぎる
写真:インターネットミュージアム
大河ドラマの醍醐味は歴史上の実在した人物が登場し、リアルに史実を感じられることです。
しかし、史実がはっきりしない部分や記録が残されていないことも多い時代をテーマにした「琉球の風」には
豊臣秀吉
写真:そんな日々の総合案内
島津義久
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徳川家康
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などは別として、琉球王国の人々や明国の人々に架空の人物がたくさん登場し、大河ドラマではなく歴史ファンタジーのような作り話になってしまったことも打ち切りの原因です。主人公をはじめとするほとんどの主要人物が架空のキャラクターなので、このままの設定で1年間続けるのは無理があるという制作側の意見で、半年だけの放送期間になったと言われています。
出演者は
東山紀之
写真:Johnny’s web
原田知世
写真:ガールズちゃんねる
渡部篤郎
写真:Naverまとめ
工藤夕貴
写真:fanblogs.jp
小柳ルミ子
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など割と豪華な顔ぶれで、
沢田研二
写真:pinky
寺島しのぶ
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江守徹
写真:文学座
などもキャストに加わっていました。
しかし、薩摩の侵攻で苦難に陥った琉球王国というイメージしにくい舞台や、琉球の発展に尽くす主人公という冒険心や華麗さの足りない世界観は視聴者にはあまり受け入れられず、実在する歴史上の人物は何人か登場しますが架空の人物とのやり取りや琉球王国の独特な音楽、衣装、方言などに馴染めない昔からの大河ファンのほうが多かったので、1年間ではなく半年だけの放送で6月中旬に最終回を迎えることが決まりました。
まとめ
写真:オークファン
NHKの大河ドラマは50年以上の伝統があり、通常は1年間のサイクルで壮大な歴史ドラマが放送されます。お正月に始まって年の瀬にクライマックスを迎えるので家族みんなで楽しみにしている家庭も多く、子供からお年寄りまで誰もが親しめるテーマが使われます。「琉球の風」は戦国武将や歴史上の有名人物がほとんど登場せず、あまりにもマイナーな内容になってしまったので1年続けるのは困難になり、半年で終わる結果になってしまいました。