バラエティ番組や情報番組ではMCとして活躍、物怖じしない的確なコメントで独自路線を進む一方、昨年末には自身のレギュラー番組で離婚を発表し、2人の子どものシングルマザーにママなり、ママタレの中でもちょっぴり“異質”な存在感を放っているの SHELLYさん。「料理上手」「家庭円満」といった定番のママタレ要素ではない、SHELLYさんが体現する“新ママタレ像”とは…⁉。
一度踏み外すとダメージは絶大⁉ いまだ“良妻賢母”が求められるママタレ群の中で…
ママであることをウリとする“ママタレ”という芸能人の新ジャンルを確立し、後に小倉優子、木下優樹菜、ギャル曽根、藤本美貴、北斗晶などのフォロワーを生み出すきっかけとなったのは、元モーニング娘の辻希美さんといえます。
アイドルとしてバリバリに活動していた2007年、19歳にして電撃妊娠&結婚。アイドルとしてはある意味最悪のタイミングともいえますが、その後は 個人ブログで子育ての様子を発信しながら芸能活動に復帰しました。
また、“純ママタレ”とは言い難いが、木村佳乃、森高千里、杏、篠原涼子といった面々も、ママとしての好感度を本業にプラスさせたといえるでしょう。
そんなママタレのイメージを最大限に活かすのは、前述のように「料理上手」や「家庭円満」「良妻賢母」といったキーワードであり、レシピ本や子育て本を出版するのもお約束。多様性を重んじる風潮が年々色濃くなるものの、ママタレに求めるのは旧時代的なイメージであり、少しでもその印象から外れるような行為が表ざたになれば、木下優樹菜さんのように、たちまちバッシングの標的に…。
そんな中、SHELLYさんが MCを務める『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)でも、子を持つ母の顔はいっさいなく、“独身のアラフォー女性”のようであり、番組で見せる姿はほとんど「ママタレ」していません。いかにもハーフっぽいフリーダムなトークと雰囲気を視聴者に与えています。
また、2019年末に出演した『あちこちオードリー』(テレビ東京系)では「めちゃくちゃ離婚しました」とストレートに切り出し、しかも夫側から離婚してくれと「言われた側」だったことを明かしました。また、元夫がTV番組スタッフだったことから、共にゲスト出演していた東野幸治さんから、「スタッフにフラれるタレントってあまり聞かない」とイジられ続けても、SHELLYさんは言い訳をすることもなく「めちゃくちゃフラれたんですよ」と照れ笑いさえ見せたのでした。
さらに今年8月23日放送『おしゃれイズム』(日本テレビ系)でも、離婚の話になると「またその話になっちゃう? もうみんな飽きてるんですよ、その話!」と自虐ネタにしながらも、シングルマザー生活はきつくないかと上田晋也さんに聞かれると、「正直な話、すごく楽です!」ときっぱり答え、豪快に笑った。上田さんが「え、楽? なんで?」と驚くと、「えぇ~、お金があるからかな?」とボケつつ、千葉県に一軒家を購入して子どもたちとのびのび暮らしているというSHELLYさんの姿に、さすがの上田さんも「確かに1年ぐらい前より幸せそうかもしれない」と容認するほどでした。
“いいママ”に固執せず、女性らしさも失わず、等身大・ありのままであり続ける⁉
そんな「正直すぎる」SHELLYさんなのですが、乳幼児用のおむつ・花王メリーズのCMには3年連続で出演(離婚後も続投)、Instagramでも 2人のお子さんとの様子をアップするなどして、ママの姿も見せています。
また、女性誌『VERY』(光文社)では「シェリーのこれってママギャップ?」という連載もしており、『周囲のママの目を気にして我が子を叱っちゃうのはなぜ?』、『SHELLYさんが提案「自粛中の今こそママを褒めて!」』など、シングルマザーゆえの疑問や、育児に奮闘する母親が日々感じていることを綴っています。
自身のインタビューでは、「仕事が仕事だから、ネガティブなことでも面白く伝えられたら受け入れてもらえるし、問題提起というとおこがましいけれど、みんなに考えてもらうきっかけにもなるじゃないですか。タレントでよかったというか、タレントだから私らしくいられるというのはありますね」と、しっかり自己肯定。一般的には大問題の離婚ですらポジティブに変換しています。
セレブなライフスタイルを披露しすぎたり、浮世離れ感が即炎上したりする中、SHELLYはバツイチ&シングルマザーを隠さず 悲観的にもならず(むしろポジティブ)、といって同情されないように肩に力が入りすぎてもなく 実に自然体なのです。場合によっては、ママとしての手抜きさえ肯定することも…。“いいママ”に固執せず、女性らしさも失わず、等身大・ありのままであり続けるSHELLYさんは、今という時代を感じさせる “ママタレ”のスタンダードになっていくのかもしれません。
希望する人は伝統を維持し そうでない人は自由に生き方を選択する時代に⁉
今回のこの報道に対して ジャーナリストであり、昭和女子大学他研究員の治部れんげ氏はこうコメントしています。
《時代の変化を感じます。長年「男性は外で働き女性は家庭を守る」性別役割分担規範が強かった日本社会が変わってきたようです。
SHELLYさんが「ママギャップ」連載をしている月刊誌「VERY」は、25年前に創刊され、当初は高収入の夫を持つ美しい良妻賢母が想定読者でした。近年、連載しているモデル、タレント達が離婚の事実を記事中でさりげなく公表する例が続いています。
この記事でSHELLYさんがシングルマザー生活を「楽」である、と語っているように、他の離婚経験があるモデルさんも、ひとりで子育てしながら仕事や家事をするリアルな生活を記事で見せたりしているのです。こういう生き方が支持されるのは、読者・視聴者も伝統的な家族(父親が外で働いて家族を養い、母親が家のことを全部やる)ではなくなっているためです。希望する人は伝統を維持しそうでない人は自由に生き方を選択する良い時代になってきました 》
他にも多くのコメントがよせられているようですが…
《 元々明るくポジティブな性格なんだと思う。でもやっぱりお金があればシングルでも楽だと思う。もちろんその分仕事もして大変だと思うけど、ママが頑張っている姿を子供に見せるのもいいことだと思う 》
《専業主婦もどのママも素晴らしいよ。古いものはその良さがあるのだから、死語っていわないで認めてあげてよ、それが多様性だと思うけど。マイノリティや、認められ難いもの、個人主義を守るだけが多様性ではない 》
《子育て親にどんな肩書きがあっても、同じ子育てなんだよね。子供と親の個性の違いはあるけどね。シングルだから、専業主婦だから、ワーママだから。ではなくて、みんな同じ親なんだよね 》
等など、様々な視点の多くのコメントが寄せられているようでした。